【「原子力の平和利用分野におけるインドネシア原子力庁と原子力機構との間の取決め」に基づく協力】

原子力機構は、BATANとの間で、平成19年5月に締結した「原子力の平和利用分野におけるインドネシア原子力庁と原子力機構との間の取決め」に基づき、「研究炉の利用及び運転管理」、「ラジオアイソトープの生産とその利用」、「原子炉物理」、「放射性廃棄物管理」、「放射線防護」、「原子力工学安全」、「原子力人材養成」、「その他両者で合意した分野」において、協力を実施している。


【高温ガス炉における研究協力の背景】

BATANが本年6月に発刊したインドネシア原子力展望では、以下の原子力発電所の導入計画が示されている。


2027年: ジャワ島、マドゥラ島、バリ島:2000 MWe規模(1000 MWe級×2基)
2031年: スマトラ島:2000 MWe規模(以下に示す小型高温ガス炉による発電容量を含む)
この他、カリマンタン島、スラウェシ島、その他離島においては、発電及び熱源としての産業利用を目的として、100 MWe規模の小型高温ガス炉を導入する計画が示されている。


BATANは、インドネシア共和国におけるこれらの商業炉の導入に先立ち、高温ガス炉(試験・実証炉)の建設を検討しており、原子力機構は試験・実証炉建設に向けた協力要請をBATANから受けた。


【BATANにおける高温ガス炉試験・実証炉計画】

BATANは、発電と熱電併給、並びに燃料等の研究開発を目的として、第四世代原子炉である高温ガス炉(試験・実証炉)の建設を計画している。高温ガス炉(試験・実証炉)の熱出力は10~30 MWt、電気出力は3~10 MWe、建設期間は4年程度とし、2020年の運転開始を目指している。


【研究協力の内容】

インドネシア共和国に高温ガス炉を導入する計画の立案に当たっては、原子炉システムの概念検討を実施する必要があり、その基になる高温ガス炉及びその応用技術等の知見が必要である。原子力機構は、HTTRの設計、建設、運転及び試験を通して、高温ガス炉の設計、安全設計、燃料、黒鉛、構造材、熱利用システム及びその応用技術について豊富な知識と経験及び運転・試験データを有している。これらの知見は、インドネシア共和国における高温ガス炉の概念検討に役立つものである。

そこで原子力機構は、BATANからの要請に基づき、BATANが導入を計画する高温ガス炉(試験・実証炉)の研究開発活動をレビューし、HTTR及びHTTRを用いた水素製造に関する研究開発、並びに実用高温ガス炉(GTHTR300C 3)及びHTR50S 4))の設計研究を通して得られた知見を活用しながら協力を行う。

これにより、我が国の高温ガス炉技術の国際展開及び国際標準化を図ると共に、インドネシア共和国の高温ガス炉導入計画策定に向けた概念検討を短期間で効率的に実施することが期待できる。また、インドネシアの民間企業が計画する水素製造用高温ガス炉に、我が国の技術の採用が期待できる。


【これまでに高温ガス炉に関する研究開発協力協定を締結した国(二国間協力)】

(1)米国との協定 (2)カザフスタンとの協定 (3)韓国との協定 (4)中国との協定

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