【用語解説】

1) ナノグラニュラー材料

「ナノ」とは、10億分の1(10-9)を表す単位の接頭語であり、1ナノメートル(nm)は10億分の1メートル。すなわち、「ナノグラニュラー材料」とは、母相(マトリックス)中にナノサイズの微小な粒子が分散した材料です。

2)本研究で用いたナノグラニュラー材料は、磁性相の鉄‐コバルト合金粒子を、母相のマグネシウムフッ化物(MgF2)中に分散させた材料であり、この材料の基本特許は2010年に電磁材料研究所から出願されています(特願2010-214360)。

3) 誘電率

電界(電圧)によって物質内に蓄えられる電荷(電子など)の量を表し、誘電率が大きいほど蓄えられる電荷の量が多くなります。

4) 磁気‐誘電効果

材料の磁化に対応して、その材料の誘電率が変化すること。これまでの誘電体は磁化を持たず磁気‐誘電効果は示さず、本研究で言う多機能性は発揮できません。

5) マルチフェロイックス、マルチフェロ

一つの物質系で強磁性、強誘電性、強弾性などの性質を複数有すること。

6) スピン依存電荷分極

私たちが見出した多機能性の新しいメカニズム。グラニュール間の電荷の移動が材料の磁化に対応して変化することによって発現します。

7) 自己調整機能

4)の磁気‐誘電効果により、印加される磁界が変化すると材料自身が誘電率を変化させることを指します。従って、印加する磁界を制御することによって自動的に誘電率を制御できることになります。

8) 多機能性(マルチ・ファンクショナル)材料

一つの物質系において、複数の機能性を具備し、さらに、その複数の機能性が相互に関わりあった新しい性能を有する材料。

9) 量子ドット

量子力学的効果が発現するまでに微細に加工された素子。

10) フッ化マグネシウム

ナノグラニュラー材料に用いられるセラミックス絶縁体として、科学的・熱的に安定な窒化物、酸化物、およびフッ化物があります。フッ化マグネシウムは、バンドギャップが大きく絶縁性が高いことが特徴です。

11) チューナブルデバイス

VHFやUHFの広い周波数帯において、一個の部品で電子回路のインピーダンスを受信する周波数に応じて調整する能力を内蔵したデバイス。

【論文名・著者名】

“Giant dielectric and magnetoelectric responses in insulating nanogranular films at room temperature”
(室温で巨大な誘電率および磁気-誘電効果を示す金属-絶縁体ナノグラニュラー膜)
Nobukiyo Kobayashi, Hiroshi Masumoto, Saburo Takahashi, Sadamichi Maekawa


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