大学共同利用機関法人 高エネルギー加速器研究機構/独立行政法人 日本原子力研究開発機構/国立大学法人 東京大学

平成25年11月21日
大学共同利用機関法人 高エネルギー加速器研究機構
独立行政法人 日本原子力研究開発機構
国立大学法人 東京大学

反射高速陽電子回折法によりシリセンの構造決定に成功
〜世界最高強度の陽電子ビームを用いてシリコン新素材の構造が明らかに〜

本成果のポイント

【概要】

高エネルギー加速器研究機構(以下「KEK」)物質構造科学研究所(以下「物構研」)の兵頭俊夫特定教授らのグループと日本原子力研究開発機構(以下「原子力機構」)先端基礎研究センターの河裾厚男研究主幹のグループ、および東京大学物性研究所(以下「東大物性研」)の松田巌准教授による共同研究および共同利用研究(研究代表:原子力機構・深谷有喜研究副主幹)は、結晶最表面の原子配置を精度よく決定できる反射高速陽電子回折法を用いて、銀単結晶表面上に形成したシリコンの原子1層からなる“シリセン”の構造を調べました。その結果、炭素原子1層からなる平面状のグラフェン※4と異なり、凹凸のある構造(バックリング構造)であることを初めて実験的に確認しました。

金属的な性質のグラフェンと異なり、シリセンはシリコン原子が平面内で僅かな凹凸を持つために半導体的な性質を持つと理論的に予測されており、電子デバイスへの多様な応用が模索されています。本成果は、この理論予測を裏付けるとともに、KEKにおける高強度・高輝度・エネルギー可変単色陽電子ビームが、結晶最表面の原子配置に極めて敏感であり、かつ、十分な強度と品質を持っていることを実証するものです。

本成果は、米国物理学会が発行するフィジカルレビューB誌最新号(第88巻20号)に掲載されました。http://prb.aps.org/abstract/PRB/v88/i20/e205413

以上

参考部門・拠点:先端基礎研究センター

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