独立行政法人 日本原子力研究開発機構/大学共同利用機関法人 自然科学研究機構 国立天文台/国立大学法人 東京工業大学

平成25年 11月21日
独立行政法人 日本原子力研究開発機構
大学共同利用機関法人 自然科学研究機構 国立天文台
国立大学法人 東京工業大学

宇宙核時計ニオブ92の起源が超新星爆発ニュートリノであることを理論的に解明
−超新星爆発から太陽系誕生まで100万〜3000万年と評価−

【発表のポイント】

日本原子力研究開発機構・量子ビーム応用研究部門の早川岳人研究主幹、国立天文台・理論研究部の梶野敏貴准教授、東京工業大学の千葉敏教授らの共同研究グループは、太陽系初期にのみ存在した放射性同位体ニオブ92(半減期は約3千5百万年)が、超新星爆発のニュートリノ1)で生成されたことを理論的に解明しました。

現在の太陽系にニオブ92は存在しません。しかし、隕石研究によって、約46億年前に太陽系が誕生した時点では、ニオブ92が存在していたことが明らかになっていました。ところが、ニオブ92が宇宙のどこでどのように生成されたかは未解明の問題でした。これまで、いくつかの仮説が提唱されましたが、いずれもニオブ92の量を定量的に説明できませんでした。本研究グループは、太陽系誕生の直前に、太陽系近傍で超新星爆発が発生し、放出されたニュートリノによって超新星爆発の外層でニオブ92が生成され、爆発によって吹き飛ばされて太陽系に降り注いだとの仮説を立てました。超新星爆発モデルにニュートリノ核反応率2)を組み込んで計算したところ、ニオブ92の量を定量的に説明できることが判りました。

本研究によって、長年に亘って謎であったニオブ92の起源が明らかになりました。さらに、ニオブ92を生成した超新星爆発から太陽系誕生までの時間を100万〜3000万年と評価しました。このように年代を計測できる放射性同位体を宇宙核時計と呼びます。今後、隕石研究が進み、より正確な量が判れば、より正確に時間を評価できます。なお、本成果はThe Astrophysical Journal Lettersに11月22日に出版される予定です。

以上

参考部門・拠点:量子ビーム応用研究部門

戻る