【用語解説】

1) JMTR

試験研究炉のうち、主に原子炉内において、燃料や材料に中性子を当てる試験を行うことのできる原子炉を特に材料試験炉と言い、JMTRは原子力機構大洗研究開発センターにあります。

JMTRは国内最大の試験研究炉であり、熱出力50MW、発電用原子炉などで使用する燃料や材料を中性子で照射し、それらの耐久性や適性を実際に試験する、いわば「原子炉をつくるための原子炉」として建設され、昭和43年(1968年)に初めて臨界に達しました。現在JMTRは、平成19年度から4年間かけて改修を行っており、平成23年度から再稼働する予定です。JMTRの改修としては、原子炉機器等の一部更新と照射設備の整備を進めています。原子炉機器等の一部更新では、原子炉制御系統、制御棒駆動装置、一次冷却系統、二次冷却系統、ボイラー・冷凍機、電源設備、排水設備、炉室給排気系統の更新を行っています。

JMTRの基本的機能と立地環境について下図に示します。

JMTRの基本的機能と立地環境について

2)照射試験

発電用原子炉では、核分裂で発生する熱を利用して発電していますが、照射試験炉では、原子炉で発生する中性子等の放射線を利用し、これを物質に照射することによって様々な実験、研究等を行っています。これを中性子照射試験といい、例えば、JMTRでは、中性子照射によって、発電用原子炉などで使用する燃料や材料の耐久性や適性の試験、ラジオアイソトープの製造等が行われてきました。

3)照射設備

原子炉で照射試験を行うために設置する設備を照射設備といい、照射利用ニーズに合わせた照射試験が行えるように、世界の照射試験炉には様々な照射設備が設置されています。例えば、JMTRでは、照射条件に合わせて、炉心への挿入位置を任意に選び、必要に応じて照射試料の温度、圧力、荷重等を計測制御できるキャプセル照射設備や、原子炉の運転中に試料を炉心位置に挿入、取り出すことにより照射量を調整できる水力ラビット照射装置、軽水炉燃料の出力変動を模擬できるシュラウド照射設備等があります。これら照射設備を利用して、JMTRの有する高度な照射技術によって照射試験が行われてきました。照射技術の例を下図に示します。

照射技術の例

4)水力ラビット照射装置

水力ラビット照射装置は、原子炉の運転を停止することなく、試料を封入した容器(φ32 × 150mm)を水流によって原子炉内へ挿入したり、取出したりすることができます。照射した試料の搬出、出荷などの取扱いが容易なことから短時間の照射に適しており、短寿命のラジオアイソトープ(RI)の製造や大学等での基礎研究に利用されています。

この設備は、取出し時に容器が水流によって飛び跳ねるように出てくるのでラビット(兎)と呼ばれます。


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