(別紙)
平成22年12月3日
独立行政法人日本原子力研究開発機構
大洗研究開発センター

材料試験炉 (JMTR) の管理区域外にある埋設配管のき裂による放射性物質の漏えいについて(最終報)(概要)

1. はじめに

平成22年10月5日に、独立行政法人日本原子力研究開発機構 (以下「機構」という。) 大洗研究開発センター (北地区) JMTR施設において発見された管理区域外にある埋設配管のき裂による放射性物質の漏えいに関して、調査・検討の結果、今回の事象の原因を特定し、実施すべき対策を決定したことから、規制当局への法令報告を行った。

以下にその概要を記載する。

2. 事象の発生状況及び原因と対策

2.1 発生日時

平成22年10月5日(火) 10時40分頃 (き裂の確認)

平成22年10月5日(火) 12時32分頃 (汚染の確認)

2.2 発生状況

JMTR施設における居室実験室建家のホット実験室等から排出される試料水、洗浄水、手洗い水等の一部放射性物質を含む廃液は、排水設備である埋設配管を通って、ホット機械室の廃液タンクに送られる。

JMTR施設において新規の一般汚水配管をこの埋設配管の下側に敷設する工事を行っていたところ、作業担当者が埋設配管の塩化ビニル製のフランジ部にき裂を発見した。この時、き裂からの廃液の滴下は認められなかったが、フランジ部付近の土壌を採取し、放射能の測定を行った結果、微量なセシウム137及びコバルト60が検出された。

2.3 原因

(1) 塩化ビニル製フランジ部のき裂発生の原因
フランジ接続の施工不良による塩化ビニル配管と鋼管との芯ずれ、不適切なフランジの使用、ボルトの過剰な締付けの三つの要因の同時作用によって塩化ビニル製フランジに曲げ応力が生じ、き裂が発生したと考えられる。

(2) これまでき裂を発見できなかったことの原因
この埋設配管に対する検査として、平成10年度までは水張りによる漏えい検査によって漏えいがないことを確認していたが、平成11年度より漏えい検査が実施されなくなった。この要因は、この排水設備の点検について、当時の担当職員の経験と技量に頼り、組織として文書化が不十分であったことと、水張りによる漏えい検査等の業務の引き継ぎが十分に行われなかったことと考える。これに加えて平成元年施工時の一部関連図書の管理に問題があり、塩化ビニル製のフランジ及び配管が存在することを認識していなかった。

2.4 環境への影響等

検出下限値以上の放射能濃度が認められた範囲を十分に含むように周囲の土壌を撤去し、撤去した後の土壌を採取し、測定を行った結果、検出下限値以上の放射能濃度は検出されなかった。また、き裂発見当日のモニタリングポストデータに変動はなく、作業員の身体及び工具等に汚染はなく、本事象による環境や作業員への影響はなかった。

2.5 対策

(1) 塩化ビニル製フランジ部のき裂発生への対策
今回のき裂発生を踏まえ、この排水設備については、現在の埋設配管を撤去して、新規にステンレス鋼配管を敷設する。この配管はフランジを使用しない構造として、漏えいの防止を図ることとする。また、今回のフランジ接続の施工不良について教育を行うこととする。さらに、放射性物質を取り扱う設備の工事に際しては、小規模な工事についても、受注者の技術的能力・経験等の確認を確実に行うとともに、工事の要求事項に対する施工計画の妥当性について担当課長がレビューし、その記録を保存するよう文書に定めることとする。

(2) これまでき裂を発見できなかったことへの対策
今回新規に敷設するステンレス鋼配管からの漏えいについては日常点検を行い、また、年1回の頻度で漏えい検査を行うこととし、手引等に点検の目的、方法、頻度、引き継ぎ等について明記する。さらに、図書については系統別に整理する等、管理方法を見直すこととする。

(3) 汚染土壌の処置
撤去した土壌を納めた鉄製容器は内容物を表示し、JMTR施設内に保管することとする。

3. 水平展開

今回の事象の原因と対策を踏まえ、機構内へ水平展開を実施し、再発防止を図る。


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