(用語説明)

※1 放射線標準施設
放射線測定器の総合的な試験を目的とした施設で、東海研究開発センター原子力科学研究所内(茨城県那珂郡東海村白方白根2-4)にあります。利用できる放射線の種類は、中性子の他にγ線、X線、β線であり、それぞれの基準となる量が正確に評価されています。
 ホームページ:http://rphpwww.jaea.go.jp/senryo/kyouyo.htm
※2 keV、MeV
中性子を含む放射線のエネルギーを表す単位です。1keVは電子を1,000Vの電界で、1MeVは電子を1,000,000Vの電界で加速したときの電子の運動エネルギーに相当します。
※3 単色中性子標準照射場
単一エネルギーの中性子(単色中性子)を利用して、中性子測定器の感度を精度よく試験できる照射場です。
通常、中性子測定器の感度は、252Cfや241Am-Beなどの中性子を放出する放射性同位元素(RI線源)を用いた照射場で決定されています。このようなRI線源から放出される中性子は、図に示すような幅広い連続したエネルギー分布を持ちます。このため、エネルギー毎に変化する中性子測定器本来の感度を、これらの照射場で精度良く評価することは困難です。これを解決するためには、図の赤色線で示すような単一エネルギーの中性子(単色中性子)を用いて試験を行う必要があります。この単色中性子は、加速器を利用することにより発生させることができます。

図 RI線源及び単色中性子を利用した中性子照射場のエネルギー分布の例

※4 エネルギー特性
中性子測定器の感度は、入射する中性子のエネルギーにより異なります。この感度のエネルギー依存性をエネルギー特性と呼びます。図に放射線防護に利用される中性子線量計のエネルギー特性を例示します。線量計の感度は中性子エネルギーによって変化し、エネルギーによっては数倍も感度がずれてしまう場合があります。測定器の精度を上げるためには、単色中性子標準照射場を利用して、このエネルギー特性を精度良く評価しなければなりません。

図 中性子線量計のエネルギー特性の例

※5 加速器
電磁場を利用して陽子や重陽子などの荷電粒子を加速する装置です。荷電粒子を加速するには、様々な方法があります。このうち、バンデグラフ型加速器は、ベルトまたはチェーンに電荷を乗せて、電極にその電荷を運ぶことによりプラスとマイナスの電極の間に安定した高電圧を作り、荷電粒子を加速する装置です。
※6 中性子測定器に関する国内外の規格
中性子測定器の試験に関する国内外の規格には、国際標準化機構(ISO)によるISO 8529-1、国際電気会議(IEC)によるIEC61526及び日本工業規格(JIS)によるJIS Z 4521などがあります。これらの規格では、単色中性子の発生方法及び試験エネルギー点を規定するとともに、エネルギー特性試験の実施方法が記載されています。図に今回開発した標準照射場のエネルギー点と規格が要求する内容との関係を示します。規格では、10keV〜100keVで1点、100keV〜1,000keVで3点以上、1,000keV〜10,000keVで3点以上及び14,800keVの合計8エネルギー点以上でエネルギー特性試験を行うことが規定されています。また、10keV以下および14,800keVを超えるエネルギー領域については、試験できる標準照射場が整備されていれば試験するように推奨されています。独立行政法人産業技術総合研究所が整備している現在の日本の国家標準では、規定されたエネルギー点のうち7点しか試験ができませんが、原子力機構が開発した標準照射場は、全てを網羅しています。

今回開発した標準照射場のエネルギー点と規格が要求する内容との関係

※7 施設供用制度
原子力機構が保有する設備を外部の多くの方々に利用していただくための制度です。
 ホームページ:http://sangaku.jaea.go.jp/index.html
※8 フルエンス
断面の面積が1(cm2またはm2)の球に入射する中性子の個数を表す用語です。中性子の照射量を表す最も基本的な単位です。

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