「ベトナム放射線・原子力安全規制庁(VARANS)との核不拡散のための保障措置及び核セキュリティの基盤整備分野に関する協力のための覚書」概要

1.覚書の目的、意義

ベトナムが、今後、保障措置や核セキュリティ分野における基盤整備を行うにあたり、原子力機構が本分野における知見を活用した協力を行うための枠組みとして覚書を締結する。G8北海道洞爺湖サミットの合意文書でも述べられているように、原子力平和利用を進める上で、3S(保障措置・核不拡散、原子力安全、核セキュリティ)は基本原則であり、そのための国際協力は極めて重要である。3Sは我が国が主導してサミットの合意文書に盛り込まれたものであり、本覚書の下での保障措置、核セキュリティに関する協力はそうした我が国の政策に資するものである。

2.覚書の下での協力の具体的な内容

保障措置、核セキュリティ分野における基盤整備(法令整備、体制整備)に関して、情報交換、専門家会合の開催、施設訪問、人材育成等を通じた協力を実施する。当面は保障措置、特にベトナムが追加議定書を批准するための基盤整備のための協力に重点を置くこととする。

3.覚書の締結に至る経緯等

原子力機構では、核不拡散政策研究として、アジアにおいて近い将来(2020年頃)、原子力発電の導入が想定される国(インドネシア、ベトナム、タイ等)に焦点をあて、核不拡散分野での協力のあり方を検討している。政策研究のケーススタディの一環として、平成19年2月に、ベトナムにおける核不拡散に関する取組み状況(法令の整備状況、条約等、国際枠組みへの加入、関連各機関の役割等)に関する調査を行い、平成20年3月には、ベトナム放射線・原子力安全管理庁(VARANSAC)(当時、現在の名称は、ベトナム原子力安全規制庁(VARANS))との間で、「原子力の平和利用と核不拡散に関する専門家会合」を開催した。こうした取組みを通じて、追加議定書批准に向けた法令、体制の整備等、ベトナムが今後、原子力発電を導入するにあたっての核不拡散上の課題が特定されたことを受け、原子力機構が、こうした課題の解決に向けて継続して協力を実施していくこと、そのための協力枠組みの構築を検討していくことに合意した。

その後、協力の枠組みについて関係省との調整、VARANSとの間での検討を行ってきたところであるが、先般、覚書の締結について合意が得られた。


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