用語解説
- 1) クリアランス制度
- クリアランス制度は、原子炉施設の廃止措置等に伴って発生する資材中に含まれる放射性物質の濃度が、放射線防護上特段の措置を講じる必要がない、即ち放射性物質として取り扱う必要がないレベル以下であることを所要の手続きによって確認し、確認した以降は核燃料物質によって汚染された物として取り扱わないこととする制度である。クリアランス制度の適用を受けたものは、通常の産業廃棄物又は有価物として、廃棄物・リサイクル関係法令等の規制を受けることとなる。
- 2) 放射能濃度の測定及び評価の方法
- 独立行政法人日本原子力研究開発機構東海研究開発センター原子力科学研究所は、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律第61条の2第2項の規定に基づき、平成19年11月8日に「放射能濃度の測定及び評価の方法」について認可申請を行い、平成20年7月25日に文部科学大臣の認可を受けている。
クリアランス対象物に含まれる測定評価の対象放射性物質は、3H、60Co、137Cs及び152Euである。
- 3) 旧JRR−3改造工事について
- 旧JRR−3は、国の技術を集約して(昭和37年初臨界)建設された初の国産研究炉である。その後、老朽化対応と利用拡大、性能向上を目的に、昭和60年度から平成元年度にかけて改造工事を行い、原子炉本体を一括撤去するとともに、原子炉建家の一部を撤去し、新たな原子炉本体を設置して大学等による中性子利用研究に供している。
- 4) クリアランスレベル
- 放射性物質として取り扱う必要がない基準として、クリアランスの判断基準となる放射性物質の放射能濃度。なお、放射性物質として取り扱う必要がないことを満足する要件は、クリアランスされた物質に起因する線量が、「自然界の放射線レベルと比較して、十分小さく、また、人の健康に対するリスクが無視できること」であり、実際には、この線量を放射性物質の放射能濃度に換算することにより求められている。
今回のクリアランス対象物は、試験研究用原子炉施設から発生したものであり、当該施設については、金属くず、コンクリート破片等を対象として33核種のクリアランスレベルが文部科学省令において規定されている。