用語解説

1)第一原理分子動力学計算
経験的パラメータを用いずに多数の原子からなる系の電子状態を正確に扱いながら各原子に働く力を計算し、各原子の軌跡の時間発展を求めるシミュレーション法。この方法によって、原理的にはあらゆる物質の任意の熱力学条件での状態を求めることができる。しかし、液体の場合には膨大な計算が必要となるため、大型計算機の利用が不可欠となる。
2)大型放射光施設SPring-8
大型放射光施設(SPring-8; Super Photon ring 8 GeV からつけられた愛称)は、世界最高性能の放射光を利用することができる大型の実験施設である。従来のX線発生装置から得られる光に比べ、1億倍の明るさのX線を利用することができる。
3)水素結合
酸素や窒素など、電子を引きつけやすい原子と共有結合した水素原子は電子を引っ張られて弱い正電荷を帯び、隣接原子の持つ負電荷との間に共有結合の10分の1程度の弱い結合を生じる。これを水素結合と呼ぶ。水分子間に形成される水素結合は分子間の結合としては強い結合である。
4)超臨界水
温度・圧力を気体と液体の区別が消える点(これを臨界点と呼ぶ)以上にした物質の状態を超臨界流体と呼び、超臨界流体となった水を超臨界水と呼ぶ。超臨界流体は気体の拡散性と液体の溶解性を併せ持つ。水の臨界点は摂氏374度、218気圧である。
5)会合体
同種の分子が分子間力によって2個以上結合し、1つの分子(単位)のように振る舞う現象を会合と呼び、このような単位を会合体と呼ぶ。
6)動径分布関数
ある粒子Xを中心として距離rに粒子Yが存在する確率数密度分布を動径分布関数と呼ぶ(gXY(r) と表す)。動径分布関数から配位数などの系の構造の特徴を知ることができる。

戻る