【用語解説】

※1)非弾性中性子散乱実験
 物質に入射した中性子が散乱される際、散乱の前後で中性子のエネルギーが変化する散乱をとくに中性子非弾性散乱という。変化した中性子のエネルギーは物質が吸収(または放出)したエネルギーとして使われる。この散乱過程を実験で観測すると、物質内の運動状態を調べることができる。
※2)J-PARC中性子実験装置「四季」
 J-PARC物質・生命科学実験施設のビームラインNo.1に設置された中性子実験装置。非弾性中性子散乱実験を高効率かつ高感度で行うことができる。
 文部科学省科学研究費補助金特別推進研究「4次元空間中性子探査装置の開発と酸化物高温超伝導機構の解明」(研究代表者:新井正敏/No. 17001001)の助成を受け、原子力機構、高エネ機構、東北大学によって建設。
※3)チョッパー
 従来のチョッパーでは、ある単一の入射エネルギー(中性子の進行速度)に合わせた曲率をスリットに持たせており、複数の異なる入射エネルギーの中性子ビームを透過させることが原理的に不可能であった。今回、四季に採用したチョッパーは、スリットをあえて直線型にし、かつスリットの幅をある程度広げることで、複数の異なる入射エネルギーの中性子ビームを十分な強度で透過させることを実現した。

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