平成21年4月27日
独立行政法人 日本原子力研究開発機構
国立大学法人 京都大学

金属で厳重に遮へいされた爆発物の非破壊測定法を発明

日本原子力研究開発機構(理事長・岡ア俊雄、以下「原子力機構」という。)量子ビーム応用研究部門の早川岳人研究主幹ら、京都大学(総長・松本 紘)エネルギー理工学研究所の大垣英明教授及び産業技術総合研究所(理事長・野間口有)計測フロンティア研究部門の豊川弘之主任研究員の共同研究グループは、高い透過力を有するガンマ線を用いて、厚い金属で厳重に隠ぺいされた爆発物を非破壊で検出する方法を発明しました。

爆発物は一般に多量の炭素や窒素を含んでおり、その組成はそれぞれ異なります。そのため、炭素と窒素の量を同時に計測できれば、隠ぺいされた爆発物の検知及び、同定が可能です。

本研究グループは、レーザー・コンプトン散乱ガンマ線1)による原子核共鳴蛍光散乱2)を用いて、隠ぺいされた物質に含まれる複数の元素を同時に非破壊測定する手法を考案しました。さらに爆発物の模擬物質として広く用いられているメラミン3)を対象に原理実証実験を行いました。厚さ15mmの鉄と厚さ4mmの鉛で遮へいされたメラミンに、4〜5 MeV4)のエネルギーの幅を持つガンマ線を照射し、炭素と窒素の組成比を計測しました。計測した組成比がメラミンの組成比と一致したことにより、本手法の有効性が示されました。

従来、厚い金属で隠ぺいされた爆発物や有害物質を非破壊で検知する手法は確立していませんでした。本成果は、隠ぺいされた爆発物等の非破壊測定を可能にするものであり、港湾におけるコンテナ内の爆発物検知等に利用できる可能性があります。また、塩素やアルミニウムも同時に計測でき、様々な可能性を秘めています。

本研究の成果は、5月9日付の Review of Scientific Instruments 誌に掲載されます。

以上

参考部門・拠点:量子ビーム応用研究部門

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