用語解説

1) ITER
「イーター」と読み、国際熱核融合実験炉の意味。核融合エネルギーの平和利用が科学技術的に成立することを実証するための核融合実験炉を実現する大型国際プロジェクトです。2018年頃の運転開始を目指し、日本・欧州連合(EU)・ロシア・米国・韓国・中国・インドの七極によりフランスにおいて建設が進められています。
2) ITER機構
ITERを建設、運転する国際機関。2007年10月24日に発効した日本、欧州連合(EU)、ロシア、米国、韓国、中国、インドの七極による「ITER機構設立協定」に基づく独自の法人格を有する国際機関です。
3) 欧州原子力共同体(ユーラトム)
ユーラトム設立条約により1958年に設立した欧州連合(EU)内の共同体。「原子力産業の迅速な確立及び成長に必要な条件を創出することにより、加盟国における生活水準の向上及び他の国との関係の発展に貢献すること」を目的としています。
4) ニオブチタン超伝導導体
超伝導とは、特定の物質(超伝導物質)を極低温に冷却すると電気抵抗がゼロとなる現象のこと。この現象を利用して、超伝導物質に大電流を流し、超伝導導体として用いることで、非常に強力な電磁石を得ることが実用化されています。ニオブチタンは最も広く利用されている超伝導物質で、約9.5K以下の温度に冷却すると超伝導となることが知られています。
5) ITER工学設計活動
ITER建設の前段階として1992〜2001年に実施された設計活動。日本、欧州連合(EU)、ロシア、米国の国際協力によりITERの設計を行うと共に、要素モデルを製作するなど技術開発を実施し、ITERの建設の技術的見通しを得ました。本記事にある超伝導コイル試験装置は、本活動の一環として製作されました。
6) 接触抵抗
金属を接触させたときに、接触面に発生する電気抵抗。接触面の荒さ、被膜、接触面圧などにより変化し、金属そのものの抵抗より大きな抵抗が発生します。
7) 変動磁場
時間的に変動する磁場のこと。磁場の強さを表す単位としてテスラ(T)が用いられますが、変動磁場は磁場の時間微分であり、T/s (テスラ毎秒)の単位で表されます。ITER ポロイダル磁場コイルの超伝導導体には最高で0.6T/sの変動磁場が加わります。
8) ニッケルメッキ
ニッケルは耐食性があるため金属のメッキ被覆として広く用いられています。超伝導線表面にニッケルメッキを施すと、撚り線内の電流が均一となりさらに交流損失も低減することが期待されています。

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