用語解説

*1 ITER
1988年に日、米、ロ、EUの4極が共同設計を開始し、現在では日、米、ロ、EU、中国、韓国、インドの7極が協力して建設を開始しようとしている核融合の実証装置。DT自己点火プラズマによる長時間核燃焼を設計目標とし、核融合炉の科学的及び工学的可能性の実証を目指している。建設サイトはフランスのカダラッシュに決定している。その名前は、ラテン語の道を意味する単語“iter”に由来する。
*2 ブランケット
重水素と三重水素(トリチウム)の反応を用いた核融合炉では、重水素とトリチウムが燃料である。しかし、トリチウムは天然に存在しないため、人工的に作り出す必要がある。そこで、核融合反応が発生しているプラズマを包むような構造体にリチウム化合物を入れて設置し、核融合反応によって発生する中性子を利用して、リチウム原子を核反応によりトリチウムに転換することが考えられている。そのためのリチウム化合物およびそれを収納する構造体をトリチウム増殖ブランケットと呼ぶ。さらに、中性子の運動エネルギーを熱変換し、その熱を発電に利用するブランケットを発電ブランケットという。
*3 第一壁
プラズマに直接面する壁の総称。機能的に分類すると、リミタ、ダイバータ、ブランケットなどがある。狭義には、壁面が磁気面に平行な位置関係にあるブランケットを第一壁と呼ぶ。一般に第一壁はプラズマと直接作用し、大きな熱・粒子負荷を受ける。このため、第一壁から不純物が発生し、これがプラズマに与える影響も無視できないことから、表面材料にはプラズマへの影響が少ない低原子番号材料であるベリリウムや炭素系材料、もしくは表面損耗が少ない高元子番号材料であるタングステンが使用される。第一壁の設計は、除熱、不純物放出、粒子リサイクリング率、表面損耗、照射損傷、熱疲労、電磁力などを総合的に評価して行われる。
*4 中性子
質量数1、電荷0の粒子。核融合(DT)反応によって14MeVの運動エネルギーを持つ中性子が生成される。DT 反応 : 比較的に低い温度で反応し,反応率も高い。次式で表される。
  D + T → He4 +3.52MeV+ n +14.06 MeV
*5 燃料
DT核融合反応を起こすための燃料。燃料は、重水素(D)と三重水素(Tトリチウム)で構成される。重水素は、水などから比較的容易に取り出すことが可能である。三重水素(トリチウム)は、核融合反応によって発生する中性子とリチウムの反応を利用して作ることができる。
*6 トリチウム
核融合炉の燃料となる水素同位体のひとつの三重水素。天然には存在せず、核融合炉を運転し続けるためには、トリチウムを生産し炉心に供給し続ける必要がある。Liと中性子の核反応により生産可能である。その反応は次式で表される。
  n + Li6 → T + He4 + 4.8 MeV
  n + Li7 → T + He4 + n - 2.5 MeV
 (自然界に存在する Li の内 7.4 % は Li6)
*7 ITER参加各極
現在ITER協定に参加している、日、米、ロ、EU、中国、韓国、インドの7カ国のこと。
*8 ITER工学設計活動(ITER工学R&D)
ITER設計活動においてITERの工学的技術を確証するための研究開発。七大工学R&D(ITER中心ソレノイドモデルコイル開発、ITERトロイダル磁場コイル開発、大型真空容器開発、ブランケット開発、ダイバータ開発、ブランケット遠隔保守技術開発、ダイバータ遠隔保守技術開発)を2001年に完遂した。
*9 拡散接合
金属材料を密着させ、素材の融点以下の温度条件で、接合面間に生じる原子の拡散を利用して接合する方法。

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