【補足説明】

TRIACの短寿命核は、タンデム加速器からの陽子ビームをイオン源内のウラン標的に照射することによって生成され、その場でイオン化される。短寿命核イオンはオンライン同位体分離装置によって質量を分離された後に、電荷増幅器によって多価イオンに変換され、線形加速器群によって加速される。

今回の開発は、イオン源では、繊維状のウラン炭化物の標的を独自に作成するとともに、標的部分を高温環境に保つための専用ヒーターを新たに組み込むことで、短寿命核をウランの中で高速に拡散・蒸発させイオン化することに成功した。また、荷電増幅器では、入射ビーム軸を正確に決める入射ビームアライメント法を新たに導入した他、サポートガスの変更、高圧純水による表面研磨などにより、従来の約15倍の高い多価イオン変換効率が実現できた。これらの開発によりECR型電荷増幅器による電荷変換において高効率化、高純度化ともに難しいとされてきた金属元素であるインジウムやバリウムの短寿命核ビームを世界で初めて加速し、実験に使用することを可能とした。

これらイオン源、電荷増幅器ともに高度な技術を必要とし、今回、これらの装置から、高効率でイオンを安定に取り出すことに成功した。


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