【用語解説】

※1 ニュートリノ実験施設
J-PARCで加速された陽子ビームを標的に照射しニュートリノを発生させ、世界最高強度のニュートリノビームを295km離れた東京大学宇宙線研究所スーパーカミオカンデ※7に打ち出す実験を行い、ニュートリノが飛行中に別の種類のニュートリノに変わる「ニュートリノ振動」という現象を調べる。1999年から2004年まで、K2K実験として高エネルギー加速器研究機構で実験が行われた。J-PARCニュートリノ実験はT2K実験としてK2K実験の約100倍のニュートリノビームを生成することが出きる。ニュートリノ振動現象を詳細に調べることにより、物質の起源の解明や、宇宙創成の謎に迫る研究である。T2K実験は、世界12ヶ国、61機関、約400名からなる国際共同実験で、2009年4月の実験開始を予定している。
※2 前置検出器
人工的に作り出される発生直後のニュートリノを観測する装置で、295km離れたスーパーカミオカンデで観測されるニュートリノとの強度やエネルギー分布の違いを調べる。
※3 欧州合同原子核研究機構(CERN)
ヨーロッパ諸国により設立された素粒子物理学のための国際研究機関で、設立は1954年。所在地はスイスジュネーブ郊外。周長27 km、地下100 m、フランスとの国境をまたぐ世界最大の加速器(LEP、LHC)で素粒子物理の研究が行われている。
※4 陽子−反陽子衝突型加速器、UA1実験
CERNでは、1981年から陽子−反陽子衝突型加速器(SppS)による実験を行い、UA1実験とUA2実験の2つの実験グループが、1983年にW、Zボソン粒子をほぼ同時に発見した。この時の陽子と反陽子の衝突のエネルギーは6千3百億電子ボルトであった。
※5 Wボソン粒子、Zボソン粒子
自然界に働く4つの力は、重力、電磁気力、強い力、弱い力であり、弱い力を媒介する力の粒子が、W、Zボソン粒子である。
※6 NOMAD実験
CERNの陽子加速器(SPS)を用いて行われたニュートリノ実験で、1994年から1999年にかけてデータを収集し、当時としては世界最高の感度でニュートリノ振動現象の探索を行った。
※7 スーパーカミオカンデ
岐阜県飛騨市の神岡鉱山跡の地下1,000mに建設されたニュートリノ検出装置で、円筒型タンク(直径39.3m高さ41.4m)内は、約50,000トンの純水で満たされ、水中でニュートリノによって散乱された荷電粒子が発するチェレンコフ光を光電子増倍管で検出する。

【補足資料】

T2K実験に関する説明資料及び3月28日搬入された前置検出器用電磁石架台の記録写真を以下からダウンロードできます。

資料 http://www.kek.jp/ja/news/press/2008/image/T2Kmagnetppt.pdf

写真 http://www.kek.jp/ja/news/press/2008/image/T2Kmagnetphoto.pdf


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