平成19年8月9日
独立行政法人日本原子力研究開発機構
国立大学法人大阪大学
 
小型装置で世界最高のレーザー出力を達成
−高コントラストの高強度レーザー光を実現−

 
 独立行政法人日本原子力研究開発機構(理事長 岡撫r雄 以下「原子力機構」と言う)量子ビーム応用研究部門の桐山博光研究副主幹らは、国立大学法人大阪大学レーザーエネルギー学研究センター宮永憲明教授らと共同で、従来の装置より飛躍的に小型化(10分の1以下)され、更にレーザー光に伴う光ノイズのレベルを100分の1以下に抑えた、高強度レーザーの開発に成功しました。
 この成果により、小さな装置で強度の高いレーザー光が利用できることとなり、がん治療用のレーザー駆動小型陽子線発生装置をはじめとする医療分野での利用や、基礎科学研究、産業分野など幅広い分野で高強度レーザーの利用が進むものと期待されます。

 これまで、代表的な高強度レーザーとしてチタンサファイアレーザー装置の利用が進められてきましたが、構成する光学部品や機器の数が多く装置がまだまだ大型である、また、レーザー光のコントラスト(レーザー光とこれに付随する不必要な「ノイズ」との強度比)が十分ではなく、陽子線発生などに利用するには「ノイズ」の影響が大きいという技術課題がありました。

 この技術課題に取り組むため、本研究では光パラメトリックチャープパルス増幅(OPCPA、図1)1)という手法を改良して高強度レーザーの増幅技術の開発を行いました。その結果、@レーザー光を高強度にするための増幅部が従来では数m必要であったものを、数十cmと10分の1以下にすることに成功しました。また、A発生する光ノイズのレベルを100分の1以下に抑えることに成功しました。さらに、BOPCPAを用いた小型の高強度レーザーとしては、世界最高のレーザー光出力3テラワット2)(=3兆ワット)を同時に達成することに、世界で初めて成功しました。

 なお、本研究成果は、米国光学会誌Optics Lettersのオンライン速報版に2007年8月6日に掲載されました。発行日は、2007年8月15日(現地時間)予定です。


 ・小型で世界最高のレーザー出力を達成 −高強度レーザーの小型化・低ノイズ化に成功−
 ・補足説明資料
 ・用語解説
以 上

参考部門・拠点:量子ビーム応用研究部門


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