平成18年9月27日
独立行政法人日本原子力研究開発機構
 
高温ガス炉の冷却材流量を喪失させる試験等の許可取得
−高温ガス炉の優れた安全性の実証を推進する−

 
 独立行政法人日本原子力研究開発機構(理事長 殿塚猷一、以下「原子力機構」という)は、高温工学試験研究炉(HTTR)において原子炉運転中に原子炉冷却材(ヘリウムガス)の流量喪失試験等を行うための原子炉設置変更許可の申請を行っていましたが、試験の安全性等に係る国の安全審査を経て、平成18年9月27日に文部科学大臣による同許可を取得しました。

 高温ガス炉は、熱を直接利用した水素製造等と高効率発電を同時に実現することが可能で、原子力エネルギー利用の多様化への貢献が期待されています。炉心に高温に耐える黒鉛を使用していること等から、炉心の熱容量(熱を貯め込む能力)が大きく、万一の事故に際しても炉心温度の変化が緩やかで、燃料破損に至らないという固有の安全性を有しています。
 この固有の安全性を実証するために、文部科学省の革新的原子力システム技術開発公募事業として、原子炉冷却材の流量を定格時の1/3まで低下させる試験及び制御棒1本を一定量引き抜く等の安全性実証試験を平成14年度から18年度の5ヵ年計画で実施してきています。

 原子力機構では、今後とも、世界を先導する高温ガス炉技術の高度化研究を推進するため、より厳しい条件下での試験として原子炉冷却材の流量喪失試験、さらに原子炉の崩壊熱除去のための炉容器冷却設備も同時に停止させる新たな試験を行うこととし、試験実施のための原子炉設置変更許可を申請しました。今回、許可を取得したことにより、これらの試験を平成19年度から実施する計画です。

 同試験の成果は、高温ガス炉の固有の安全性を活かした安全設備の簡素化等を通じて、第4世代原子力システムとして有望視されている超高温ガス炉(VHTR)の経済性向上等に貢献するものであり、世界的に注目されています。


 ・原子炉冷却材の流量喪失試験の概要
 ・原子炉冷却材の流量喪失試験時の原子炉の挙動
 ・解説
以 上

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