平成18年9月1日
独立行政法人日本原子力研究開発機構
大学共同利用機関法人自然科学研究機構国立天文台
国立大学法人東京大学
 
超新星爆発の光による重元素生成の原理を解明
−重元素はどの超新星爆発でも同じように生成されていた−

 
 日本原子力研究開発機構【理事長 殿塚猷一】(以下、「原子力機構」と言う)、国立天文台【台長 観山正見】、東京大学【総長 小宮山宏】からなる共同研究グループは、超新星爆発の光核反応による重元素の生成が、超新星爆発の物理的な個性に依存せずに普遍的であるメカニズムを解明した。
 鉄より重い重元素の約99%が、太陽系誕生以前に存在していた多数の恒星の中で、中性子と原子核の反応によって生成されたことが判明している。その一方で、残りの内27核種の同位体は、恒星の超新星爆発において、高エネルギーの光が原子核に入射し中性子が剥ぎ取られること(光核反応)で生成されたことが判明している。なお、その証拠は本研究チームによって2004年に発見された。
 全ての恒星は、質量、組成、爆発エネルギー等の物理的な個性が異なる。そのため、恒星の超新星爆発で生成された同位体の質量分布は、恒星毎に異なると考えられていた。本研究グループは、この仮説に反し、どのような超新星爆発でも「光核反応で生成された同位体の量は、元になる同位体の量に比例する」ことが超新星爆発の個性に依らずに「普遍的」に成立することを発見した。超新星爆発のモデル計算によって、そのメカニズムを解明した。さらに研究を発展させるためにインジウムの天体観測を提案した。
 27核種の同位体の天体起源が不明であることは、W.A.ファウラー(*1)が1950年代に指摘して以来の謎であったが、本研究によって解明された。なお、本研究成果は、2006年9月1日(現地時間)に発行予定の米国天文学学会学会誌「アストロフィジカル・ジャーナル」にレターとして掲載される予定である。
(*1) 1983年にノーベル物理学賞を受賞

  超新星爆発の光による重元素生成の原理を解明 −重元素はどの超新星爆発でも同じように生成されていた−
  補足説明資料
以 上

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