(別添)
米国エネルギー省との「核不拡散・保障措置分野での研究開発協力取決め」の締結について

1.概要:
 日本原子力研究開発機構(原子力機構)は、平成18年7月21日午後(米国ワシントン時間)に、ワシントンD.C.の米国エネルギー省(DOE)本部で、DOEと「核不拡散・保障措置分野での研究開発協力取決め」を締結する。署名者は、原子力機構木村良理事とDOE国家核安全保障庁(NNSA)ジェリー・ポール副長官。

2.意義:
 先日のサンクトペテルグブルグ・サミットの世界のエネルギー安全保障に係る「サンクトペテルブルグ行動計画」でも言及されたように、原子力エネルギーは世界のエネルギー安全保障に資するものであり、今後世界的に益々その利用の拡大が期待される一方、原子力平和利用は核不拡散やテロ対策などのコミットメントに合致した形で進める必要がある。
 また、米国DOEは、今年2月に米国の新たな原子力政策である国際原子力エネルギー・パートナーシップ(GNEP)を発表した。その開発戦略の7つの要素の1つとして、「先進的保障措置手法の開発」が掲げられており、当該手法の開発は、今年5月にボドマンDOE長官と小坂文部科学大臣が合意した協力事項の1つでもある。
 今回、原子力機構として新たにDOEと核不拡散・保障措置・核物質防護分野での研究開発協力の取決めを締結し、現在の協力事項も含め、以下3.の協力を進めることにより、これらの国際的な動向に原子力機構と米国DOEが協力して対応することが可能となり、原子力平和利用の一層の促進に貢献するものと期待される。

3.取決めの概要:
 (1)目的: 核不拡散と保障措置技術・機器の効率性と有効性を向上させること。
 (2)範囲: 保障措置、計量管理・検認、核物質防護及び核不拡散に関する技術や機器の研究、開発及び試験のための共同プロジェクトの実施、これらに係る情報交換や訓練、機器の交換等。
 (3)方法: 共同研究の実施、研究者や専門家の交換、試験のための試料、材料、装置及び機器の交換や貸与、情報の交換、セミナーやワークショップの開催、施設訪問等。
 他、取決めには、協力の管理(常設調整グループやプリンシパル・コーディネータ等の設置)、個々の協力活動を定めた文書(プロジェクト・アクションシート)の作成、人員、機器、情報及び資料等の交換に係る条件や、取決めの期間、知的所有権等の条項を規定。

4.主要な協力事例:
 (1) もんじゅ保障措置データ遠隔転送システム開発:
 もんじゅ保障措置の強化・効率化を目的とし、新技術であるワイヤレス・データ転送技術を用いて取得した「もんじゅ」原子炉格納容器内の保障措置データ(監視カメラと炉心放射線モニタのデータ)を、査察者サイトまで遠隔転送する「保障措置データ遠隔転送システム」の開発を実施中。
 (2) 核物質輸送時の核物質防護に関する研究
 核物質輸送時の核物質防護措置の有効性と信頼性向上を図るため、MOX新燃料輸送時の脅威を設定し、これに対する脆弱性の評価と強化の検討を通して、核物質輸送時の核物防護システムに係る評価手法を整備する研究を実施中。
 上記を含め、合計13の研究を実施中。

5.その他:
 旧サイクル機構は1988年から、旧原研は1990年から、各々DOEと核不拡散・保障措置分野での研究開発協力取決めを締結し、協力を行ってきた。原子力機構の設立を契機に、原子力機構としてDOEと新たに取決めを締結すべく、DOEと調整してきたが、今般、取決め内容につき合意を得たので締結する運びとなった。なお、本取決めは、原子力機構となって初めてDOEと締結する取決めである。
以 上

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