平成17年12月20日

禁止命令取消請求事件/原子力機構「準備書面」
(平成17年12月20日付け)の概要


独立行政法人日本原子力研究開発機構法務室

本準備書面は、被告(鳥取県中部総合事務所長)の平成17年12月9日付け準備書面における主張に対し、所要の反論主張をしたものである。


「被告の想定した原告の行為」と「原告の詳細設計による行為」とは別個の工事であるとの鳥取県中部総合事務所長の主張に対する反論
原子力機構が平成16年11月に行った「届出の内容」と、届出後、ボーリング調査等の現地調査をし、その結果を踏まえて作成した「詳細設計の内容」とが、同一の設計概念に基づくものであることは、@両者の設計要素が共通し、同一であることに加え、A詳細設計内容の作成経緯(当初の届出から詳細設計図面作成に至るまでの一連の経緯)からしても明らかである。

鳥取県中部総合事務所長の「『被告の想定した原告の行為』の違法性」と題する主張に対する反論
鳥取県中部総合事務所長は、切土法面の高さや工事が長期・大規模であることを挙げて風景を損なうと主張する。
しかし、鳥取県立自然公園条例や審査基準である「鳥取県における自然公園許認可事務の処理要領」には、切土法面の高さの程度や、工事期間の長短、工事規模の大小によって風景を損なうとの判断をすべき旨を処分基準としていることをうかがい得る条項はない。処分基準なしに禁止命令を発令することは公平性、法的安定性を損ない、到底許されない。

鳥取県中部総合事務所長の「原告の詳細設計による行為の違法性」と題する主張に対する反論
鳥取県中部総合事務所長は、仮設構台(工事用仮設橋)の設置は、砂防管理者として許可できないから、設置工事を行うことはできないと主張する。
しかし、仮設構台が、鳥取県砂防指定地等管理条例による許可がされるか否かは、本件訴訟の審理の対象ではない。
また、鳥取県立自然公園条例上の行政庁と鳥取県砂防指定地等管理条例上の行政庁とが、同じ行政庁(鳥取県中部総合事務所長)であるからといって、鳥取県中部総合事務所長としては、許可・不許可の判断をするに足りる資料に接しておらず、かつ、審査すべき段階にも至ってないのであるから、それにもかかわらず、裁判所の審理の場で、許可できないなどというのは、法の公正な執行、運用に当たるべき行政庁として言語道断である。

鳥取県中部総合事務所長の、原告が平成8年に行った仮設設置と本件の仮橋設置との比較についての主張に対する反論
原子力機構は、平成8年に麻畑2号坑捨石堆積場で工事を行うに当たり、仮橋を設置したが、この仮橋は禁止命令の対象とはなっていないし、鳥取県砂防指定地等管理条例による許可もされている。
この点について、鳥取県中部総合事務所長は、本件の工事規模は風景を阻害する程度が平成8年のときとは全く比較にならず、かつ、県道への影響も計り知れないと主張する。
しかし、前述したとおり、切土法面の高さの程度や、工事期間の長短、工事規模の大小によって風景を損なうということはできないし、県道の片側車線を占有したとしても、残る片側車線で車両の通行は可能であるから、県道への影響が計り知れないということもできない。
以上

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