平成17年10月27日
独立行政法人
日本原子力研究開発機構
東濃地科学センター
|
瑞浪超深地層研究所・研究坑道掘削工事の一時停止について
|
1.経緯
|
- 瑞浪超深地層研究所では研究坑道掘削工事に付随して発生する湧水の狭間川(瑞浪超深地層研究所の坑内排水を排水する普通河川)への放流に関連して、平成14年7月以降、夏季と冬季における狭間川の水質及び底質(河川堆積物)中の水素イオン濃度(pH)やカドミウム等の重金属濃度等の環境基準項目を自主的に外部機関に委託し測定してきている。
- 平成17年度分の測定として平成17年7月25日採取した試料についての最終報告書案を10月24日に事前入手し、確認したところ表−1に示すように、フッ素については排水基準(参考参照)は下回るものの、環境基準(参考参照)を越える値があった。また、ホウ素についても環境基準を超える値があった。
- 10月25日より確認のため、東濃地科学センターにおいて分析した結果は表−2に示すように、フッ素については排水基準の約2分の1の値であった為、濃度の推移をみて、関係機関との協議を行いながら環境基準を下回る対策を早急にとることとし、その準備を開始することとした。
- 対策の一部として事業者の責任で自ら排水の停止を検討していたところ、本日岐阜県より工事の一時停止の申し入れの要請があり、環境保全の観点から工事及び排水を停止(11時56分)した。
|
2.委託による測定結果
表−1 |
単位(mg/  ) |
|
フッ素
排水基準:8
環境基準:0.8 |
ホウ素
排水基準:10
環境基準:1 |
狭間川上流 |
0.06 |
<0.05 |
狭間川下流 |
7.9 |
1.4 |
|
底質 |
フッ素 |
ホウ素 |
狭間川上流 |
0.07 |
0.15 |
狭間川下流 |
2.1 |
0.12 |
|
図−1採水位置参照
|
3.東濃地科学センターによる測定結果
表−2 |
単位(mg/  ) |
|
フッ素
排水基準:8
環境基準:0.8 |
ホウ素
排水基準:10
環境基準:1 |
10月25日 |
10月26日 |
10月25日 |
狭間川上流 |
0.07 |
- |
<0.2 |
狭間川下流 |
1.73 |
- |
0.33 |
坑内排水の排水口 |
3.92 |
5.67#1 |
0.86 |
堆積場上流 |
0.05 |
- |
<0.2 |
|
図−1採水位置参照
#1:排水プラント排出口にて採取
|
4.フッ素濃度等が環境基準を超えた原因
この地域にはもともと自然状態で高い濃度のフッ素、ホウ素があり、掘削工事に伴いその地下水を汲み上げ排水したことによるものと考えられる。
|
5.今後の対応 |
(1)環境基準を上回ることから、フッ素及びホウ素の環境基準を下回る対策を以下のとおりとする。
@フッ素等の吸着剤(無機系重金属吸着剤)を自動添加する装置を10月28日に設置し、関係機関の指導監督のもとに排水を再開する。
Aフッ素の連続モニタリング機器を排水処理プラント出口に10月28日に設置し、測定を開始する。 |
(2)経緯にあるように7月25日の採取の試料について、10月24日まで分析結果を把握出来なかったことから、当該作業に関わるマニュアルを作成するとともに、従業員に対する教育を直ちに徹底する。
(3)これまでに取得した分析データについてはホームページ等により公開していく。
|
【参考】 |
- 排水基準とは
排水基準は、水質汚濁防止法第三条第一項に定められる「排水基準を定める省令」によるものであり、法第十二条第一項において排水基準以上の排出水は排出してならないと規定されている。その中でフッ素及びその化合物の基準として8mg/ 、ホウ素及びその化合物については10mg/ となっている。
- 環境基準とは
環境基本法第十六条による公共用水域の水質汚濁に係る環境上の条件につき人の健康を保護し及び生活環境を保全する上で維持することが望ましい基準を「環境基準」という。その中でフッ素の基準として0.8mg/ 、ホウ素については1mg/ となっている。
|
|
以 上 |
もどる
|