平成21年9月18日

当機構大洗研究開発センターに設置予定の「固体廃棄物減容処理施設」
に関するお問い合わせの件に対する当機構の見解等について

独立行政法人日本原子力研究開発機構

「固体廃棄物減容処理施設」についてお問い合わせのありました件につきまして、以下のとおり、当機構の見解等を示します。

1 「固体廃棄物減容処理施設」の耐震設計では450ガルで建屋を計算している、改定された耐震設計審査指針により建屋の構造計算をやり直す必要があるとの御指摘について

(1)

「固体廃棄物減容処理施設」は、原子炉等規制法上、「廃棄物管理施設」に該当します。

ところで、廃棄物管理施設について、「廃棄物管理施設の安全性の評価の考え方」(平成元年3月27日付け原子力安全委員会決定)は、「発電用軽水型原子炉施設に関する安全設計審査指針」(平成2年8月30日付け同委員会決定)等の基本的な考え方がそのまま適用されるとしております。

したがって、「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」(平成18年9月19日付け同委員会決定)の基本的な考え方がそのまま適用されることになります。耐震設計審査指針は、施設の耐震設計上の重要度を、地震により発生する可能性のある環境への放射線による影響の観点から、Sクラス・Bクラス・Cクラスに区分していますが、「固体廃棄物減容処理施設」は耐震設計上の重要度分類上、Bクラスの施設に該当します。

そして、Bクラスの施設について、耐震設計審査指針は、静的地震力に耐えることを求めています。

なお、これらの原子力安全委員会決定は、同委員会のホームページ(http://www.nsc.go.jp/)で御覧いただけます。

(2)

当機構は、「固体廃棄物減容処理施設」について、耐震設計審査指針の要求に適合するよう静的地震力を算定して設計しております。

なお、耐震設計審査指針は、原子力安全委員会が、平成18年9月19日に旧指針を全面的に見直して決定されたものですが、Bクラスの施設については、旧指針も現在の指針も、静的地震力に耐えることを要求しており、新旧両指針間で違いはありませんので、改定された耐震設計審査指針により構造計算をやり直す必要があるというものではありません。

ちなみに、Sクラスの施設の建物の耐震設計の際には、耐震設計の前提となる基準地震動Ssを策定し応答解析により地震力を算定します。この時に、基準地震動Ssの大きさを表現するために最大加速度(ガル)により地震動の大きさを表現します。他方、Bクラスである「固体廃棄物減容処理施設」の建物の耐震設計に当たっては、地震層せん断力係数(地震時に建物の各層に作用するせん断力を、その層が支える積載荷重と固定荷重の総和で除した値)を1.5倍して静的地震力を算定しています。したがって、加速度(ガル)を用いた計算はしておりません。

耐震設計上の重要度分類の変更
 出所:原子力安全委員会発行パンフレット「耐震設計審査指針の改訂」
  http://www.nsc.go.jp/taishinkojo/pdf/all_pamph.pdf

2 建屋構造計算をやり直すとなると全体の納期が遅れるのに、遅れる納期を示さないまま、各機器メーカーに対し、配置関係の詳細設計を行うよう強制しているとの御指摘について

(1)

「固体廃棄物減容処理施設」の建屋の構造計算をやり直す必要がないことは、既に述べましたとおりです。

(2)

当機構は、原子炉等規制法等の関係法令上の許認可等を取得後、「固体廃棄物減容処理施設」の設置工事を行うため、12社との間に工事請負契約や製作請負契約を締結しております。

御指摘を受け、当機構は、当機構の関係職員のほか、12社に対し、当機構の職員が、何らかの強制を行ったという事実があるか否かについて所要の調査をいたしましたが、強制を行っているという事実を見出すには至りませんでした。

以上のとおり、「固体廃棄物減容処理施設」の設置に関しましては、関係法令等に基づき、適切に設計を行っていると考えております。また、今後、同施設の建設・運転に当たっては、安全の確保を最優先に進めてまいります。

以上


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