平成18年4月3日
 
平成18年度職員入社式 理事長訓示
 
 本日、前途洋々たる皆さんを、日本原子力研究開発機構にお迎えすることができたことは、私どもにとって大きな喜びであり、役職員一同心から皆さんを歓迎するところであります。

 皆さん既にご存知のとおり、原子力機構は、日本原子力研究所と核燃料サイクル開発機構が統合され、昨年の10月1日に新しく誕生した独立行政法人であり、皆さんはその第一期生ということになります。

 発足に至るまでには、各界の識者らによる幅広い検討にはじまり、国による法制化準備、国会の審議、そして母体の両組織による実務的作業等々、実に3年余に亘る準備期間を経て発足したものであります。

 新機構は、我が国で唯一にして最大の原子力に係る総合的研究開発機関として、原子力の基礎・基盤の研究分野から実用化を目指した大プロジェクトに至るまで、言い換えれば、科学(サイエンス)から技術(テクノロジー)の分野に至るまで、極めて幅広い領域を研究・開発の対象としております。

 そして、それぞれの分野においては、先端性や独創性あるいは経済性など、質の高い成果が求められており、総合的にみて、世界第一級の研究開発機関、つまり、センター オブ エクセレンスを目指すことが要請されているところであります。私は、職員の皆さんに、「世界一の研究開発機関」を目指して、全員が一致協力して創り上げようと呼びかけておりますが、皆さんもこのことを是非胸に刻んで頂きたいと思っております。

 皆さんは、そのような新機構の第一期生になるわけでありますから、機構の内外から注目を浴び、またプレッシャーを感じることもあろうかと思いますが、言い換えれば、皆さんへの期待の顕れであると思います。これから皆さんが歩む、長い人生において、先ずは、社会人としての常識、倫理を身につけて、そして組織を創り上げてゆく一人の人間として、「常に誇りを失わず」に、「未知の世界にチャレンジする勇気を持って欲しい」と願っております。

 原子力機構は云うまでもなく、僅か6ヶ月前に誕生したばかりでありますが、統合された旧2組織は40〜50年余の歴史と伝統、そして実績のある立派な機関でありました。いわば固有の文化を創り上げた組織であったと云う事も出来ます。しかし、人間と同様に、組織も年月の経過と共に必ず老化して、生命力を失いがちであります。この不可避な弊害を防ぎ、常に活力のある組織に維持するには、新しい血液を常に供給しなくてはなりません。

 皆さんは、フレッシュな酸素を持つ新鮮な血液として、すみずみの細胞に至るまで浸透して、活力を注入して頂きたいと思います。

 私は、原子力機構の発足にあたり、ここにおられる理事の皆さんと相談をして機構のミッションを「原子力の未来を切り拓き、人類社会の福祉に貢献する」と定めました。公的な研究開発機関として、原子力機構が安全確保を大前提として、エネルギーの安定確保ならびに地球環境問題解決のためへの貢献、そして新しい科学技術や産業の創出を目指した研究開発を行い、その成果普及を通じて、人類社会の福祉に貢献することに存在意義があるというものを示したものであります。

 原子力の基礎・基盤分野、高速増殖炉サイクル、量子ビームの世界、核融合、放射性廃棄物の処理・処分等々、それぞれのフィールドにおける研究・開発の開拓分野は無限に広がっています。

 皆さんは一人一人が夢と抱負をもって、入社されたと思いますが、その実現のためには、高い志をもち、豊かな発想と強い意志をもって、事に臨めば、必ずや皆さんの夢は叶えられると確信しております。

 最後に、皆さんのご活躍を心から祈念して、御祝の言葉と致します。

以 上
 

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