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第6回「日米原子力ワークショップ」
本ワークショップでは、もんじゅを中心とした高速炉サイクルシステムに関する研
究開発の現状を紹介し、その中でマイナーアクチノイド燃焼技術に関する日米仏の共
同研究の予定も紹介された。また高温ガス炉を用いた水素製造及び核融合の研究開発
を紹介し、最後に原子力開発に画期的な革新をもたらす計算科学の進展について紹介
した。

講演中の殿塚理事長
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プリンストン大学プラズマ物理研究所(PPPL)訪問
プリンストン大学は、1746年に設立され250年以上の歴史をもつ北米で4番目に設
立された有名私立大学で30人近くのノーベル賞受賞者の内約20人以上が物理学受賞
者でEinsteinや湯川秀樹博士がいたことでも有名。JAEAとの協力関係では、旧原研
でOECD/IEA協力での大型トカマク協定のもとで研究協力を行って来た。1986年より
人員交換や、遠隔実験による米国からのJT-60の実験参加により、活発に研究協力行
っている。表敬訪問ではPPPL側からGoldston所長、Hawryluk副所長、Sauthoff ITER
プロジェクト部長、Ono NSTX部長と会見した。『PPPLと旧原研とは、これまで多くの
研究協力を行い、競争と協調の大変良い協力関係を築いて来た。殿塚理事長には、新
しい組織になり早速挨拶に来ていただき感謝する』との発言があった。

プリンストン大学プラズマ物理研究所 Goldston所長を表敬訪問
殿塚理事長より以下の挨拶があった。『これからのエネルギー開発には全地球規模
のグローバルな開発戦略が必要であり、JAEAとして国際的に如何に協力して進めていく
か、その戦略を作成中である。核融合に関する研究開発では、日米協力はこれまで大
変重要な役割を果して来ており、その協力に感謝するとともに、今後も将来にわたっ
てより良い協力関係を築き上げて行きたい』との発言があった。
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ブルックヘブン国立研究所(BNL)訪問
本研究所は、1947年、DOEの前進である米連邦政府庁下の原子力エネルギー委員会
が、「米国民の福祉を向上させるための原子力の平和的利用推進」を目的に設立された。
現在のBNLの役割は、優秀な科学者の育成と最先端技術開発を大前提として運営され
ている。これまで5名のノーベル賞受賞者を出している。生物学、実用ナノ物質セン
ター、化学、粒子加速器、圧縮物質物理学及び素材科学、エネルギー及び技術、医学、
国立シンクロトロン光源、核不拡散及び国家安全、物理学、機械工学、超伝導磁気、
環境科学の13部門で研究開発が実施されている。
JAEAとの研究協力では、旧原研で1989年から核データの研究協力が活発に実施され
て来た。1998年には、水銀ターゲットへの陽子ビーム入射実験結果をJ-PARCの核破砕
中性子源の設計、製作に反映した。「放射光の分野」では、BNLの先端放射光実験施設
を利用し、発生軟X線を利用した共鳴散乱実験の研究協力が進められている。軽水炉の
分野では、2004年から低減速軽水炉の炉心設計手法に関する研究開発の協力、及びDOE
との包括協定のもとでの原子炉廃止措置に関する協力が進んでいる。

ブルックヘブン国立研究所Chaudhari 所長を表敬
Chaudhari 所長、Bond 副所長、Aronson高エネルギー核物理学副部長、Lowenstein
衝突加速器部議長、Chao光源部ユーザー科学室副議長を表敬訪問した。Chaudhari 所
長から、『旧原研とは、これまで種々の分野で研究協力を続けており、これから更に
研究協力が増加することを期待している』とのコメントがあった。
殿塚理事長より、『JAEAでも高速炉サイクル技術の開発から放射線利用まで広い範
囲の研究開発を行っているので、本研究所では幅広い研究が行われていることに大
変興味をもった。J-PARCでは特にターゲット開発での協力により、双方にとって有効
な協力関係にあったと理解している。また、J-PARCへは、BNLからも参加いただくこと
を期待している』との発言に対し、BNL側から、科学者は最も良い施設に集まるよ
うになるので、今後は、もっと研究協力が発展するのではないかとのコメントがあっ
た。
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4. |
まとめ
本出張での日米原子力ワークショップへの出席及び各研究機関への訪問を通じて以
下のような印象を得た。
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国際協力が多極化、多面化するなかで、このような米国との関係を踏まえ、対フラ
ンス、対アジア等を含んだ総合的な全方位的観点からの高い次元に立った国際戦略
を作ることが必要であると痛感した。
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最後に、日本原子力研究開発機構の設立について、米国における世界第一級の各研
究所が原子力機構の今後の原子力研究開発能力について大変期待していることを
改めて認識し、我が国のため、世界のためにも、今後の原子力平和利用のための研
究開発に、なお一層の精進をする決意を新たにした。 |
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以 上
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