国立研究開発法人日本原子力研究開発機構

99番元素 アインスタイニウムを用いたユニークな実験が今始まろうとしています。

Q&A

実験作業者の放射線防護はどのようにするのですか?
国および原子力機構が定めた規則に従って作業を行います。 アインスタイニウムからの放射線は、空気中では数センチメートルしか影響がなく、紙一枚でも止めることが出来るアルファ線が主ですから、手袋などの保護具や囲い込みができる特殊なフード内で作業を行うことで安全に取り扱います。 作業者は被ばく線量をモニタできる検出器を身に着け、自分が受けている放射線の量を確認しながら作業を行います。
マイクログラム単位の アインスタイニウムをどのように扱うのですか?どこかに飛んで行ってしまわない?
運ばれてきた試料は硝酸塩としてガラス容器に入っています。 それ以降の取り扱いは硝酸などの溶媒に溶かした状態で操作します。
その後SPring-8の実験では水に溶かして試料とし、ガラス容器内に密封した状態で計測にかけます。 一方、タンデム加速器を用いた実験では写真のように薄膜の上に電着・固化(メッキ)し、専用の真空容器に入れてビーム照射を行います。
僅か0.5μ(マイクロ)グラムをどのように原子炉から抽出するのですか?
1μグラムは1円玉の100万分の1と極めて微量です。アインスタイニウムは、これより遥かに多量のキュリウムなどの照射試料や照射中に生成される他の元素に混ざったまま取りだされます。 そこから微量の アインスタイニウムを分離するために、化学分離を行います。具体的には、試料全体を硝酸に溶かし、それぞれの元素ごとに様々なイオン交換などを繰り返すことで段階的に元素を分離していきます。
アインスタイニウムは重元素のひとつですが、どれくらい重いのですか?
仮に同じ原子数を集めたとすると、鉄に比べておよそ5倍の重さとなります。
アインスタイニウムはどのように生成されるのですか?

自然界に存在しないので、人工的に合成します。具体的には、種となるキュリウム同位体(原子番号96)に中性子を吸収させて質量数の大きい同位体を作るとともにある核種がベータ崩壊(原子番号が一つ増える現象)を起こすことで原子番号が増えるプロセスを利用します。アインスタイニウム(Es254)に到達するには高い中性子場が必要で、米国オークリッジ国立研のハイフラックス炉で可能となっています。

アインスタイニウムはどのように日本へ運搬されるのですか?

安全に運搬するため容器を何重にも囲んで運びます。写真は封入の様子です。シールされた金属缶は、衝撃テストなどが行われているひとまわり大きな金属容器に入れます。IAEAが定めた国際基準に沿った輸送方法です。

アインスタイニウムは常温で固体?液体?気体?
沸点までは測定されていませんが、融点は860℃と言われています。常温では固体です。