JAERIマーク JT−60で世界最高のプラズマ性能を達成
−エネルギー増倍率の世界記録−
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1998年6月25日

 日本原子力研究所(理事長 吉川 允二)は、臨界プラズマ試験装置(JT-60)において国際熱核融合実験炉(ITER) の定常運転シナリオの閉じ込め方式でプラズマ性能の向上実験を進めた結果、このほどエネルギー増倍率 (核融合反応による発生出力とプラズマへの入力の比率)1.25を達成した。これは、平成4年2月に欧州の 核融合実験装置(JET)が達成したエネルギー増倍率1.14を越える世界最高値である。

 JT-60では、平成8年10月に臨界プラズマ条件を達成後、ITERと同形式の新ダイバータ(W字型ダイバータ) を組み込み、炉心プラズマの純度や閉じ込め性能を一層向上させる研究開発を進めてきた。今回、 臨界プラズマ条件を達成した負磁気シアモードと呼ばれる改善閉じ込め方式をW字型ダイバータに うまく適合させるとともに、フィードバック制御を用いて臨界プラズマを再現良く生成することに成功した。 この結果、高性能プラズマ生成の最適化が進み、6月11日に行った実験において、閉じ込め時間:1.1秒、 イオン温度:1.9億度、イオン密度:48兆個/cm3を得、エネルギー増倍率で世界最高値を更新した。なお、 JT-60の実験は重水素を用いており、エネルギー増倍率は全重水素のうち半分をトリチウムと想定して、核融合反応の 発生出力を評価したものである。

 今回の成果の意義は、ITERと同形式のW字ダイバータの下で、定常運転方式として期待されている負磁気シアモード による高性能 プラズマ生成手法を確立するとともに、世界最高のエネルギー増倍率を実現することによりその有効性を実証した ことである。

 なお、この成果は、6月29日−7月3日にチェコ・プラハで開催される「第25回制御核融合とプラズマ物理に関する ヨーロッパ物理学会会議」の招待講演で発表する予定。

参考資料
成果の意義・高いプラズマ性能の要因
JT-60の真空容器中にミニ太陽が浮かんでいる
核融合炉心プラズマ性能の比較
炉心プラズマ性能の進展
写真

補足説明資料
JT-60計画の推移とプラズマ性能の進展
負磁気シアプラズマ
平成9年6月、従来型ダイバータからW字型ダイバータに改造
プラズマ純化機能の原理

本件問い合わせ先: 日本原子力研究所 炉心プラズマ研究部
炉心プラズマ計画室
石田 真一
TEL.029-270-7321 FAX.029-270-7419

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