JAERIマーク JT-60、核融合炉の省エネルギー運転法の開発に成功
ー トカマク型核融合炉の発電コストの低減に展望を拓く ー
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2005年6月23日

 日本原子力研究所(理事長 岡﨑俊雄)は、臨界プラズマ試験装置(JT-60)を用 いて、トカマク型核融合炉の省エネルギー運転法(高効率運転法)の開発に成功した。 今回の成果は、プラズマ電流の大部分(75%)をプラズマ自身が作り出す電流で維持 し、運転に要する電力の少ない高効率な運転の技術的可能性を世界で初めて明らかに したものであり、核融合炉の発電コストの低減に展望を拓く成果である。

 核融合炉の発電コストを低減するには、プラズマの圧力(温度×密度)を高めて核 融合出力を増大するとともに、運転に要する電力(所内電力)を減らす必要がある。 トカマク型装置では、プラズマを維持するためプラズマ内部に電流を流す必要があり、 現在行われている長時間運転では、高周波あるいは中性粒子ビームの入射により電流 の大部分を流しているが、この方式は大電力を必要とし所内電力の増大をもたらす。 そのため、所内電力を軽減するために、プラズマ自身が作り出す電流(自発電流)で プラズマ電流の大部分を維持する高効率運転法の開発が求められていた。

 日本原子力研究所は、世界に先駆けて高効率運転の重要性に着目し、その開発を進 めてきたが、これまでの研究ではプラズマの乱れを制御していなかったため、維持時 間が制限されており、プラズマの状態(圧力分布、電流分布等)がある時間で一定に 落ち着くまでに至っていなかった。高効率運転の技術的可能性を示すためには、高い 自発電流割合のプラズマの状態が、ある時間で一定に落ち着くことを確認することが 重要であり、そのため、プラズマの維持時間を伸長することが大きな課題となってい た。

 JT-60では、その特長である多様な入射方向を有する中性粒子ビーム入射装置を活 用し、プラズマの流れの分布を変化させて圧力の分布を制御する手法を用いることに よりプラズマの乱れの発生を回避することに成功した。その結果、75%という高い自 発電流割合を7.4秒間維持した高温プラズマにおいて電流分布、圧力分布がほぼ一定 に落ち着く(定常状態が存在する)ことを世界で初めて確認し、高効率運転の技術的 可能性を示した。これにより、核融合炉の発電コストの低減に展望が拓かれるととも に、ITERで予定されている燃焼プラズマの連続運転(自発電流割合50%程度)の高効 率化を実現することが期待される。今回の成果は、6月27日からスペインで開催され るヨーロッパ物理学会において招待講演として発表する予定である。

補足説明
用語解説


本件問い合わせ先
日本原子力研究所 那珂研究所
炉心プラズマ研究部 炉心プラズマ計画室
 藤田隆明
TEL: 029-270-7321 FAX: 029-270-7419

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