第11回 原子力機構報告会
「我が国の将来を担う原子力技術と人材」

開会挨拶 (テキスト版)

開会挨拶

理事長の児玉でございます。

本日は、お忙しい中、原子力機構報告会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。また、私どもの研究開発の拠点のある地元の方々を初め、関係者の皆様におかれましては、日ごろより当機構の業務に御理解、御協力をいただき、大変感謝申し上げます。

さて、この1年間におきまして当機構に大きな変化がございました。

まずは原子力機構改革の一環として、業務の重点化を図る観点から、本年4月1日に量子ビーム応用研究の一部と核融合研究開発が国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構に移管・統合されました。研究開発組織が変わったものの、両法人は日本の科学技術発展のために引き続き必要な連携をしっかりと図りつつ業務を進めているところでございます。

そして、これまで原子力機構として重点的に取り組んでまいりましたもんじゅ及び東京電力ホールディングス福島第一原子力発電所の事故対応についても大きく状況が変わっております。

もんじゅにつきましては、皆さん御存じのとおり、9月に行われました原子力関係閣僚会議におきまして、もんじゅは廃炉も含めて抜本的な見直しを行うということが示され、重大な局面を迎えております。地元の方々を初め、関係の皆様に御心配をおかけし、また、もんじゅの存廃の議論の原因となった保安措置命令や文部科学大臣への勧告を生じさせ、このような事態に至ったこと、非常に申しわけなく、重く受けとめているところでございます。しかしながら、日本のエネルギーの将来を考えた場合、実存するプラントとしてのもんじゅは重要な役割・価値があると考えており、高速炉開発の過程においてもんじゅを最大限に生かすことが我々の使命という気持ちは役職員一同変わっておりません。

次に、東京電力ホールディングス福島第一原子力発電所の事故対応についてです。事故から5年半たった現在もなお多くの福島県民の皆様が避難生活を強いられている現状に心が痛む思いであります。原子力機構としては、事故以来、総力を結集して福島第一原子力発電所の廃炉及び福島の環境回復に取り組んでまいりました。その中で、廃炉の実現に向けては、研究開発の拠点として楢葉遠隔技術開発センターの本格運用を本年4月より開始いたしました。続けて、同じく4月には富岡町において廃炉国際共同研究センターの国際共同研究棟、また9月には大熊分析研究センターの施設管理棟を着工するなど、当機構の福島県内における研究開発拠点の整備を着々と進めております。一方で、環境回復につきましては、7月にグランドオープンした三春町の福島県環境創造センターや南相馬市の環境放射線センターにおいて、福島県、国立環境研究所と連携・協力し、積極的に研究開発を進めているところであります。

このような状況でありますが、本日は、原子力機構の研究開発の取り組みの一端を御理解いただくべく、「機構の概況と研究開発の取組」と題した全体概要に引き続き、5つの個別報告をさせていただきます。また、本報告会後半には、原子力に対する厳しい状況は変わっておりませんが、このようなときこそ必要なものとして、「我が国の将来を担う原子力技術と人材」をテーマとして取り上げ、有識者の方々をパネリストとしてお招きし、山口彰東京大学大学院教授にモデレーターをお願いし、パネルディスカッションを行います。

それでは、限られた時間ではございますが、日ごろの原子力機構の研究開発活動について最後までお聞きいただき、引き続き御支援・御協力を賜りますと大変幸いに存じます。

本日はまことにありがとうございます。