公 開 番 号 |
2013-01 |
関連公開番号 |
2010-06 |
件 名 |
炉内中継装置の落下による変形について |
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公 開 日 |
2013年 4月 8日(平成25年) |
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不適合の発生日 |
2010年11月9日(平成22年) |
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発 生 拠 点 名 |
敦賀本部 高速増殖炉研究開発センター |
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発生施設・設備名等 |
高速増殖原型炉もんじゅ 炉内中継装置 |
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不適合の内容 |
平成22年8月26日、燃料交換後の片付け作業として、原子炉機器輸送ケーシング(以下、「AHM」という。)を用い、炉内中継装置(以下、「IVTM」という。)本体の頂部をつかんで吊り上げ、原子炉容器内から取り出す作業を行っていたところ、約2m吊り上げた時点でIVTMが落下した。 その後の調査において、AHMのつかみ装置の爪を開くためのロッドが回転したことにより、AHMのつかみ装置の爪がIVTM本体を十分に掴めなかったことが分かった。再度IVTMの引抜き作業を行うに当たり、ロッドが回転しないように当て板を取り付けて、10月13日にIVTM本体の引抜き作業を行ったが、約2.3m引き上げた時点で吊り荷重が増加し、引き抜けないことから作業を中断した。 その後の検討により、IVTM案内管接続部近傍が、燃料出入孔スリーブと干渉している可能性が摘出されたことから、11月9日にIVTM内側案内管内面を観察したところ、3番目の内側案内管の上部間隙が約15mm(初期値5〜7mm)であった。以上のことから、IVTM案内管接続部近傍で変形が生じていると推定し、IVTMが使用できる状態でないことから、IVTMは研究開発段階にある発電の用に供する原子炉の設置、運転等に関する規則第43条の14第3号の「原子炉施設の安全性を確保するために必要な機能を有していない。」と判断した。 |
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原因の調査・特定 |
AHMの設計の考え方とAHM設計段階、製作・据付段階、運用段階の各段階を対象に、AHMグリッパの幾何学的形状の維持ができなくなるに至った原因を調査した結果、次のとおりであると推定した。 (1) つかみ部の形状の維持は設計上重要であるが、基本設計段階で平板形状を採用した際、爪開閉ロッドの回転を想定していなかったため、爪開閉ロッドが廻ることを防止するなど、つかみ部の形状の維持に対する基本要求機能が適切に反映されなかった。 (2) 詳細設計段階で、爪開閉ロッドを固定している爪開閉ロッドとパワーシリンダの接続部がねじ構造であることを認識したが、基本設計時に爪開閉ロッドの回転を想定していなかったため、ねじ構造を排除するなど、つかみ部の形状の維持に係る対策が検討されなかった。 (3) 一方、製作段階で、平成2年から平成15年まで使用していたパワーシリンダのU字金具のねじ緩み止め接着剤が塗布されたため、結果的につかみ部の形状は維持された。しかし、緩み止め接着剤の塗布の指示及び塗布したことについて記録を残さなかった。 (4) 平成15年にパワーシリンダを交換した際、緩み止め接着剤に関する記録がなかったことから、緩み止め接着剤がU字金具のねじに塗布されなかった。 (5) 緩み止め接着剤が塗布されなかった状態で使用したことにより、U字金具のねじが徐々に緩み、爪開閉ロッドが回転したことによってIVTM本体の落下に至った。 (6) AHMの設計当時における原子力機構の調達管理及び設計管理の品質保証活動において、爪開閉ロッドの回転、U字金具の固定方法であるねじの緩みに対する評価、確認が十分でないことを事前に摘出することができなかった。 |
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是正処置の必要性の評価 (システムへの影響) |
AHMは、IVTM本体を取り扱うものであり、炉上部で取扱対象物を落下させた場合、原子炉施設へ与える影響が大きいことから是正する必要がある。 |
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是正処置(計画)の内容 |
1.IVTM本体の落下防止対策 (1)AHMグリッパの構造変更 @平板形状の爪開閉ロッドが回転しないよう、爪支持板の開口幅を爪開閉ロッドの幅より狭め、回転を抑制させる。 AパワーシリンダロッドとU字金具を、ねじ連結構造から一体構造に変更する。 (2)吊り・不吊り判定の支援機能強化 @グリッパ爪がハンドリングヘッドと嵌合した状態と嵌合していない状態では、荷重を検出する位置に差が出ることから、この差を検出できるようにし、グリッパ爪が正常に開き、つかみ状態となっていることを確実に検出するようにする。 AAHMの使用前に、爪開閉の状態を目視できるよう点検窓を設ける。 2.品質マネジメントシステム(QMS)の改善 AHMの設計、製作、運用段階において、つかみ部の形状の維持に対する基本要求機能に対する評価・確認が十分でないことを摘出できなかった。したがって、調達及び設計管理のQMS文書を改正し、受注者に対する設計時の要求事項及び注意点を明確化するとともに、原子力機構での審査方法・保守管理を改善する。 具体的には、容易に機能(幾何学的な形状の維持など)を喪失しない設計となっていることを設計審査で確認するとともに、組立又は据付け時に適切に緩み防止措置がなされていることを検査及び試験で確認する運用とする。 |
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備 考 |