━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2009.8.21 ━━━━━━━━

■■■□□□ JAEAメールマガジン
■□□□

++---- No.91 目次 ----++

トピックス____ 高速増殖原型炉もんじゅの性能試験の開始(運転再開)時期について

現場から ____ 「30年ぶりに原発建設を再開するアメリカは今」−ワシントン事務所

海外事務所便り_ IAEA、2008年次報告を公表

プレス発表、お知らせ、採用情報、調達情報

あとがき

━ トピックス ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

<高速増殖原型炉もんじゅの性能試験の開始(運転再開)時期について>

高速増殖原型炉もんじゅは、プラント確認試験の進捗、耐震安全性にかかる国の審議の状況及び性能試験前準備・点検等の予定も踏まえ、平成21年度内の性能試験の開始(運転再開)を目指すこととしました。

なお、性能試験の開始にあたっては、地元のご理解を得て、安全を最優先に透明性の確保を図りながら進めてまいります。

━ 現場から ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「30年ぶりに原発建設を再開するアメリカは今」−ワシントン事務所

今回は遠くアメリカからワシントン事務所について紹介したいと思います。

原子力機構はワシントンDC、パリ、ウィーンに海外事務所を設けております。いずれの地域も原子力にとっては非常に重要な場所になります。ワシントン事務所の歴史は古く、開設してから約30年が経過しております(旧動燃:1979年、旧原研:1984年)。

海外事務所!?と色々想像されるかも知れませんが、職員3名と現地スタッフ2名のとても小規模な事務所で業務を行っています。

アメリカは1979年のスリーマイル島原子力発電所事故以降、原子力の研究開発は停滞していると言われていますが、現在稼働中の原子力発電所は104基、発電電力量に占める原子力の割合は約20%の世界最大の原子力発電国です。また、研究開発に目を転じてもエネルギー省(DOE)傘下の国立研究所では再処理、加速器、地層処分、核融合、原子力基礎工学などの幅広い研究が継続して行われています。更にオバマ政権は、地球温暖化対策をエネルギー政策の柱に据えており、CO2削減の観点からも原子力は重要な役割を担うものと認識されております。

事務所における業務としては、総務、財務、労務といった運営管理の業務と原子力全般の情報収集・発信の業務があります。

日本とアメリカでは生活、習慣、文化あらゆる面で異なるため、管理業務をとっても日本が参考にならないケースが多々あります。顕著な例として、米国のビジネスにおいては、「クレジット(信用)」が非常に重要であり、リースをするにも会社のクレジットを証明できないと利率が上がったり、契約すら出来なかったりすることがあります。日本では契約相手先を審査したことはありますが、自分の会社のクレジットを証明するのは余り無いのではないでしょうか。「日本の国の機関」というだけでは通用せず、残念ながら契約が不調に終わるといったこともあります。

一方、情報収集の業務においては、いろいろな機関などの関係者に直接会って情報を入手しますが、いかに品(しな)が良く鮮度のいい情報を仕入れるかが重要になります。そのためには「現場百篇」とまではいきませんが、足で稼ぎ自分の目で確認をすることが重要です。

また、連邦議会における原子力に関する法令の審議やエネルギー省幹部が出席する場合などは、議会傍聴を行います。傍聴は事前の予約等面倒な手続きは不要です。荘厳な建物に一歩踏み入れるとそこは世界の政治の中枢、自然と身が引き締まります。

1月にオバマ政権が発足しましたが、米国政治の特徴の一つである政治任用ポストの候補者の上院公聴会が引き続き行われております。この公聴会は指名された者にとっては晴れ舞台です。傍聴席には家族、親戚が見守り、指名演説では家族の紹介から始まるのもさすがアメリカ!心温まる一時です。

アメリカは30年ぶりに原子力発電所の建設を決定し、官民が一体となって原子力ビジネスを盛り上げ、国内だけでなく国外にも広げようとしております。

今こそ、日本の原子力の研究開発成果を米国の原子力ビジネスに結び付ける絶好のチャンスととらえ、二国間の橋渡しができるようワシントン事務所一同頑張っています。

(国際部 ワシントン事務所 森 俊人)

※政権が代わると大統領が各省庁の主要ポストを任命する米国特有の制度で、特にホワイトハウス、各省局長以上の幹部については上院の承認が必要。政治任用者の数は約3000人、ブッシュ政権時の任用に要した期間は約9ヵ月と言われている。

━ 海外事務所便り ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

*当機構の海外事務所から寄せられたニュースを紹介します。

☆ ウィーン事務所
<IAEA、2008年次報告を公表>
 IAEAはこのほど、原子力安全、セキュリティー、保障措置、技術協力など、2008年のIAEA活動全般を取りまとめた年次報告をWebで公開した。同報告には、加盟国の原子力発電への関心が引き続き増大しており、50カ国以上の国が原子力導入に関心を示していることが記載されている。
 http://www.iaea.org/Publications/Reports/Anrep2008/anrep2008_full.pdf

☆ パリ事務所
<仏EDFと伊Enelが合弁会社を設立>
 フランスのEDFとイタリアのEnelは8月3日、イタリアでのEPR建設に関するフィージビリティ・スタディを行う合弁会社を共同で設立することを発表した。
 http://press.edf.com/the-edf-group/press/press-releases/noeud-communiques-et-dossier-de-presse/enel-and-edf-announced-the-creation-of-an-equal-basis-joint-venture-for-the-nuclear-development-in-italy-602748.html

☆ ワシントン事務所
<カナダの医療用アイソトープ製造炉の運転再開は来年初め>
 カナダ原子力公社は、世界の約3分の1の医療用アイソトープを製造しているChalk River研究所のNational Research Universal(NRU)炉の運転再開が来年第1四半期になる見込みであると発表した。
 http://www.aecl.ca/NewsRoom/Community_Bulletins/090812.htm

━ プレス発表 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

高速増殖原型炉もんじゅの性能試験の開始(運転再開)時期について(8月12日)
 http://www.jaea.go.jp/04/turuga/jturuga/press/2009/08/p090812.pdf

高速増殖原型炉もんじゅのプラント確認試験の終了について(8月12日)
 http://www.jaea.go.jp/04/turuga/jturuga/press/2009/08/p090812_2.pdf

「大学共同利用機関法人自然科学研究機構核融合科学研究所と日本原子力研究開発機構との間の核融合研究開発分野における連携協力の推進に係る協定締結」について(8月10日)
 http://www.jaea.go.jp/02/press2009/p09081001/index.html

━ お知らせ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

包括的核実験禁止条約(CTBT)にかかわるシンポジウムの結果報告
 7月9日に都内で開いたこのシンポジウムでは、CTBT国際検証体制の現状と課題及び今後の進むべき方向性について議論しました。
 http://www.jaea.go.jp/04/np/activity/2009-07-09/program.html

第34回中学生作文・第41回高校生論文の作品募集中
 10月26日は「原子力の日」。この日を記念して、中学生と高校生を対象に、エネルギーをテーマにした作文や論文を募集しています。
 http://www.jaero.or.jp/data/01jigyou/sakuron/index.html

━ 採用情報 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

FBRプラント工学研究センターでは、任期付研究員を募集します。(書類提出期限;8月26日)

東海研究開発センターでは、技術系職員を募集します。(同9月14日)

量子ビーム応用研究部門では、特定課題推進員を募集します。(同9月16日)

博士研究員を募集します。 (同9月25日)

 上記の詳細はhttp://www.jaea.go.jp/saiyou/index.htmlをご覧下さい。

━ 調達情報 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

一般競争(指名競争)参加資格の定期審査受付について〔物品の製造・販売・役務の提供等〕;随時受け付けています。
 http://www.jaea.go.jp/02/format/index.html

━ あとがき ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

コンピュータの演算速度や放射能の強さが話題になる時に、ピコ秒とかピコキュリーという単位にお目にかかることがあります。使い慣れた専門家にとっては何でもない単位かもしれませんが、ピコなんて1兆分の1。1ピコ秒といえば、光がわずか0.3ミリしか進まないごく短い時間のことです。

こんな話は西洋のお家芸かと思いきや、東洋も負けてはいません。ピコのさらに100万分の1、つまりもともとの100京分の1がアトで、そのアトのさらに100万の1がヨクト。一方、東洋では割、分、厘、毛に始まり、アトに相当するのが刹那。それよりさらに小さな単位として六徳、虚、空、清、浄(空虚、清浄とする説もあり)と続きます。まさに無限の小ささと広がりを感じさせるネーミングです。

ついでに言うならば、私たちが使う言葉の中にある繊細の繊は1000万分の1、曖昧模糊の模糊は10兆分の1。私たちが使う言語は、考えられないほどの広大な時空から紡ぎだされている世界なのかもしれません。(さ)

------------------------------------------------------------------------------------

【配信希望、アドレス変更、配信停止】http://www.jaea.go.jp/14/14_0.html

【ご感想やご要望】http://www.jaea.go.jp/13/13_1form.shtml

---------------------------------------------------------------------------○-------

【発行】独立行政法人 日本原子力研究開発機構 広報部  佐田務、上野信行 JAEAロゴ ○

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━o━━o○━━━━━━━━━━━━

戻る