今号からメールマガジンの内容をリニューアルしました。これまでの現場からのレポートに加え、当機構が発行している広報紙からのトピックスも紹介いたします。また、これまで隔週で発行していた本メールマガジンを、今号からは毎週発行いたします。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2009.7.10━━━━━━━━
■■■□□□ 原子力機構ニュース ～JAEAメールマガジン～
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++-- No.86 目次 --++
┃現場から ____________ 「高性能研究用原子炉ＪＲＲ－３」（東海研究開発センター）
┃海外事務所便り____ 「天野氏がＩＡＥＡの次期事務局長に」ほか
┃広報紙から _________ 「海外の原子力人材育成状況」ほか（経営企画部戦略調査室）
┃広報紙から _________ 「貫通石」（幌延深地層研究センター）
┃プレス発表、お知らせ、採用情報、調達情報
┃あとがき
━ 現場から ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃高性能研究用原子炉ＪＲＲ-３ －東海研究開発センター
研究用原子炉ＪＲＲ－３は、１９９０年に、多岐にわたる高度先進研究需要に応えるべく、熱出力２０MWで重水タンクを有する軽水減速冷却プール型の高性能研究用原子炉に改造しました。これにより、改造前に比べ中性子束を約１０倍化し、研究成果への時間短縮に大きく貢献してきました。
また、近年、中性子ラジオグラフィ装置を用いたエンジン内部のオイル潤滑の観察、燃料電池の開発や中性子散乱実験装置を用いたエイズ治療薬の開発等の他に、中性子実験のノイズを劇的に低減できる遮へい材料の実用化など、大強度陽子加速器施設（J-PARC）への技術開発にも貢献しています。現在、冷中性子ビーム及び熱中性子ビームを、合わせて約３０のビーム実験装置に提供しています。さらに、高い中性子照射場としての性能を活かして、新幹線の電力制御にも使用される高性能半導体用シリコンの製造、医療用ラジオアイソトープ製造、原子炉材料の照射等にも供しています。
このように、ＪＲＲ－３は高性能研究用原子炉として、多方面に利用され、２００８年度には、約１６０の研究機関の約１９，０００人にのぼる研究者に利用していただきました。
最近では、水戸一高及びスーパーサイエンスハイスクールである日立一高の生徒に、中性子を利用した学習にも活用されております。
当部における主な業務は、研究所内外の研究者が利用する研究炉の運転・保守管理であり、その功績が認められた結果、米国原子力学会ランドマ－ク賞や日本原子力学会原子力歴史構築賞を受賞しました。名誉ある賞を受賞することは、大変うれしく誇りになり、今後の仕事の遣り甲斐にもなります。また、研究者が新たな研究成果でのプレス報道及び名誉ある賞を受賞したときは感慨深いものがあります。今後も、より一層安全安定運転に心がけていこうと思っております。
（東海研究開発センター 原子力科学研究所 研究炉加速器管理部 研究炉利用課長 和田 茂）
━ 海外事務所便り ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
＊当機構の海外事務所から寄せられたニュースを紹介します。
┃ウィーン事務所
＜天野氏がIAEAの次期事務局長に＞
IAEAは7月2日に開いた特別理事会で、今年11月に任期が切れるエルバラダイ事務局長の後任を決める選挙を実施。その結果、在ウィーン国際機関日本政府代表部大使を務める天野之弥氏が当選を果たした。今後、９月に行われるＩＡＥＡ総会での承認を経て、１２月に就任する予定。
┃ワシントン事務所
＜米ロが原子力協力推進で合意＞
オバマ大統領とロシアのメドヴェージェフ大統領は7月6日、両国間の原子力協力に関する共同声明を発表した。両国は原子力推進に向けて、国際協力のもと、①将来の革新的原子力システム開発、②信頼性のある核燃料サイクルサービス提供のための方法・メカニズムの研究、③核不拡散性を確保した核燃料サイクルサービスの確立のための国際的アプローチの研究、④国際保障措置システムの改良、の4つに重点を置いて取り組むことに合意した。
＜オバマ政権、ヤッカマウンテン計画を事実上凍結＞
米国政府は5月7日に発表したDOE予算で、ヤッカマウンテン(YM)計画の予算を大幅に削減し、事実上凍結する方針をうちだした。また下院歳出委員会のエネルギー・水開発小委員会は6月25日、2010年度のDOE予算を269億ドルとする予算案を可決。YM計画の予算は政府要求額通りの196 百万ドルにとどまっている。
┃パリ事務所
＜仏、2020 年までにエネルギー消費量を5.6％削減＞
仏エコロジー・エネルギー・持続可能開発・国土整備省のボルロー大臣はこのほど、2020年までのエネルギー展望を発表、2020年には2006年比で同国のエネルギー消費量を5.6％削減するとした。
原子力については2020 年までに、2 基のEPRを建設することを盛り込んでいる。
＜英マグノックス型原子炉の運転期間が延長に＞
英国原子力廃止措置機関（NDA）は6月9日、2010年3月に運転停止が予定されていたWylfaサイトにある英マグノックス型原子炉の運転期間を、同年12 月まで延長することを承認した。
━ 広報紙から ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
＊当機構が社外向けに発行している広報紙などからトピックスを紹介します。
┃海外の原子力人材育成状況－経営企画部戦略調査室発行「原子力海外ニューストピックス」（6月22日）
気候変動対策の重要な柱として原子力への期待が高まっているが、原子力ルネサンスの実現に際して大きな障害が三つある。
一つは、金融危機に端を発した世界的な経済不況による建設資金不足。
残りの二つは、米国のスリーマイル島原子力発電所の事故及び旧ソ連のチュルノブイル原子力発電所の事故の影響による約30年に及ぶ世界的な原子力モラトリアムによってもたらされた原子炉の重要設備（特に原子炉圧力容器）の製造能力不足と、最新の原子力技術に精通したエンジニアや熟練した技能工などの労働力不足である。
これら三つの障害の中で、対策に長期間を要する質の高い労働力の育成は最も難しい問題と思われる。（続きはhttp://www.jaea.go.jp/03/senryaku/topics/t09-3.pdfをご覧下さい）
┃カザフスタンのカザトムプロム社長の収賄事件－同
国営原子力企業カザトムプロムの社長ジャキシェフと3人の副社長がカザフスタン国家保安委員会によって5月25日、逮捕された。
逮捕の理由は、ウラン鉱山の権益を異常に安い価格で違法に海外企業に売却したもので、KNBは一例として、ハラサン1鉱山の開発のために設立したウラン鉱山会社キズルクムの株式のカナダのウラン鉱山会社Uranium Oneへの売却を挙げた。
キズルクムの株式は、Uranium One が30％、日本の企業グループが40％、残りの40%をカザトムプロムが所有しているが、Uranium One分の30％の株式はたった15.6百万tenge（約103700ドル）で売却されたとKNBは述べている。（続きはhttp://www.jaea.go.jp/03/senryaku/topics/t09-3.pdfをご覧下さい）
┃「貫通石」について－幌延深地層研究センター「月報」（6月26日）
幌延深地層研究計画で建設している地下施設の深度140m 水平坑道では、地下水や岩盤が坑道の掘削によってどのような影響を受けるのかなどを明らかにするための調査研究を行っています。
地下施設の建設工事では、平成21 年5 月13 日に東立坑側と換気立坑を結ぶ深度140m の水平坑道が東立坑から49m の地点で貫通しました。貫通地点から採取された石は、「貫通石」と呼ばれています。
「貫通石」は、古事記によれば「神功皇后（第14 代仲哀天皇の皇后）が新羅征伐の際に敵の背後まで掘った洞窟を利用し大勝利を収め、勝利の記念に洞窟の石を持ち帰ったところ、元気な赤ん坊（のちの応神天皇）を産むことができた」という言い伝えより、「安産のお守り」と称し珍重されています。
また、石（意志）を貫くということから、難関突破や初志貫徹の意味合いで、「合格祈願」や「結婚記念」のお守りとしても知られています。
当センターでは、深度140m 水平坑道の貫通を記念し、PR 施設ゆめ地創館に「貫通石」を展示しておりますので、ご来館の際には、ぜひご覧ください。
（原文はhttp://www.jaea.go.jp/04/horonobe/geppou/09/32.pdfでご覧下さい）
━ あとがき ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
NHKラジオで流される気象通報。「石垣島では南東の風、風力３、天気くもり、気圧998ヘクトパスカル…」などと、気象要素を淡々と知らせるものです。それだけでは、無味乾燥のデータの羅列でしかありません。けれども、それらのデータを集めて天気図に描きこむと、梅雨前線や冬型の気圧配置が、くっきりと現れます。平凡から非凡が突然、現れます。
気象の知識のもとになったのは、地味で平凡な記録でした。それらはやがて、積み重なって学問になり、私たちの生活に深く関わるようになりました。そして、例えば天気予報は、私たちの暮らしに、今やなくてはならないものの一つとなりました。
私たちJAEAの研究開発も、それと似たところがあります。その日常は、地味なものがほとんどです。
けれどもそれらがやがて積み重なって、その成果が私たちの暮らしに貢献するようになる。私たちは、そんなことを願っています。
このメルマガでは、そのプロセスの一端を紹介できればと思っています。（広報部 佐田 務）
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【発行】独立行政法人 日本原子力研究開発機構 広報部 
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