━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2010.9.17 ━━━━━━━━
++---- No.144 目次 ----++
現場から ____ 超高圧275kV受電の中央変電所 −那珂核融合研究所
海外事務所便り _ NRCが中部および東部にある原子力施設の耐震評価結果を公表 ほか
広報紙から ___ 「もんじゅ」は炉心確認試験を終了しました(「つるがの四季」)
プレス発表、お知らせ、採用情報、調達情報
あとがき
今回は、275kV基幹送電線に直結されている那珂核融合研究所の中央変電所についてご紹介します。
那珂核融合研究所構内各建家及び臨界プラズマ試験装置「JT-60」を始めとする実験装置に電力を供給している中央変電所は、日本原子力発電(株)の東海第二発電所と東京電力(株)の那珂変電所を結ぶ275kVの東海原子力線という基幹送電線からT分岐して電力会社の開閉所を経由することなく直接受電しています。275kVという超高圧で受電する自家用需要設備は国内ではあまり例を見ません。その上、基幹送電線から直接引き込んでいるとなるとなおさらです。
このように一般の需要設備としては他に類のない、むしろ電気事業者の変電所と同等と見なせる設備であるため、中央変電所の運用には電力会社並みの技術が要求され、さらに24時間体制で常時監視制御が行われています。
また、基幹送電線からT分岐による直接受電なおかつその送電線が近傍の原子力発電所の発電機に接続されているということが実験装置の運転方式を検討する上でもかなり影響を与えています。JT-60は大電力を瞬間的かつ間欠的に必要とする装置です。このような急峻な立ち上げ・立ち下げのあるパルス状の負荷は電力系統に電圧変動や周波数変動といった影響を及ぼす原因となります。この電圧や周波数の変動幅の度合によっては、他の需要設備等に迷惑をかけるおそれがあります。そこで、東京電力(株)、日本原子力発電(株)、原子力機構(旧原研)の3者で協議し、許容される電圧や周波数の変動幅等を検討し、それがJT-60の運転に反映されています。つまり、電力系統への影響が許容範囲内に収まるように、プラズマ放電時の使用電力のピーク値を抑制するあるいは放電終了後は段階的に負荷遮断を行うといった考慮がなされています。また、ピーク電力の抑制に伴ってプラズマ放電時に不足してしまう電力については、エネルギー蓄積装置、すなわち、プラズマ放電前に電気エネルギーを回転エネルギーとして蓄えておき、放電時に再び電気エネルギーに変換して電力として供給する3基の電動発電機を設置して賄っています。
現在、那珂核融合研究所ではJT-60を解体し、超伝導トカマク「JT-60SA(Super Advanced)」に改修する計画が順調に進んでいますが、JT-60SAの運転においても中央変電所の特異性を踏まえJT-60と同様の配慮が必要とされます。
(那珂核融合研究所 管理部 工務課 大森憲一郎)
*当機構の海外事務所から寄せられたニュースを紹介します。
☆ ワシントン事務所
<NRCが米国原子力発電所の中間性能評価結果を発表>
NRCは9月3日、米国原子力発電所104基の2010年の中間性能評価結果を発表しました。本評価は発電所の性能を「全ての安全目標を満足している」から「許容できない性能」までの5段階に分類しています。
http://www.nrc.gov/reading-rm/doc-collections/news/2010/
<NRCが中部および東部にある原子力施設の耐震評価結果を公表>
NRCは9月8日、米国中部および東部にある原子力発電所、使用済燃料貯蔵サイトおよび核燃料サイクル施設の耐震性評価結果をとりまとめた報告書を発行しました。
http://www.nrc.gov/reading-rm/doc-collections/news/2010/
☆ ウィーン事務所
<ドイツの専門家報告「依然として原子力が必要」>
ドイツのレトゲン環大臣とブルデル経済大臣は8月30日にベルリンで、2050年までにドイツのエネルギー需要を再生エネルギーにより満たすことができるが当面は原子力が必要であるとする、ドイツ政府の委託を受けた専門家の報告書の概要を共同で発表しました。
☆パリ事務所
<英国NDAが事業計画改訂案に対する意見公募を開始>
英国の原子力廃止措置機関(NDA)は戦略案(事業計画改訂案)を公表し、11月24日まで意見公募すると発表しました。
http://www.nda.gov.uk/consultations/details.cfm?customel_datapageid_28748=41633
<仏、2012年以降の新築住宅にスマートメーターの設置を義務付け>
フランスの9月2日付け官報は、2012年以降に建築する住宅には、スマートメーターの設置を義務付けると報じました。スマートメーターは、EDF(フランス電力公社)の配電網子会社ErDFが導入を進めているもので、各家庭の電力の消費量を遠隔で検針することができます。
*当機構が社外向けに発行している広報紙などからトピックスを紹介します。
*上記の詳細は http://www.jaea.go.jp/saiyou/index.html をご覧下さい。
ようやく、この記録的な猛暑も過ぎ去りつつあり、幾分過ごしやすくなってきました。季節の変わり目は風邪などで体調を崩しやすいので、体調管理には十分に気をつけていただきたいと思います。
さて、政界では国民の注目を集めた民主党代表選がついに終わり、党を二分しての戦いに決着がつきました。しかし、この代表選が行われている間に、国内では円高が進み、エコカー補助金も終了してしまうなど景気の悪化が懸念されています。この景気対策として一般的によく言われるのが、国内消費を刺激すること、つまり国民が国内でお金をたくさん使えば景気は回復基調になるということです。私もまずは地デジ対応から始めたいと思います。(広報部 山農宏之)
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【発行】独立行政法人 日本原子力研究開発機構 広報部 佐田務、上野信行 ○
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