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++---- No.115 目次 ----++
現場から ____ パリの今と昔 −パリ事務所
海外事務所便り _ EDFとアレバが使用済燃料の再処理問題で合意 ほか
プレス発表、お知らせ、採用情報、調達情報
あとがき
今回は、フランスのパリ事務所について紹介します。
パリ事務所は、原子力機構が最初に開設した海外事務所で、その歴史は1978年まで遡ります。
1970年代後半、世界はウラン探査ブームに沸いていました。原子力機構(旧動燃)は当時、アフリカ大陸で多数のウラン探査プロジェクトを進めていました。世界各国との競争の中で、アフリカの国々、特にフランス語圏の国々で機動力を持って情報収集を行い、そして効率的に探査活動を行うには、活動の情報拠点をフランスに置く必要がありました。当時、旧動燃はアレバ社(旧コジェマ社)と多数の共同探査プロジェクトを進めていたことから、旧コジェマ社が探査事務所を置いていたフランス南部の港町、マルセイユに事務所を構えたのが歴史の始まりです。
当時のマルセイユ事務所は、所長1人で、業務はウラン探査関係に限られていました。その後、1985年に対象業務が旧動燃の全般に拡がり、そして政府機関等との折衝機会が増えたことから、パリ市内の旧東銀ビル6階に事務所を移転し、名前がパリ事務所となり、所員が現在の3名体制になりました。
さて、前置きが長くなりましたが、実は、私は1986年から89年まで、パリ事務所の所員として勤務していました。この20年の時の流れとともに、パリもずいぶん変わったという印象を強く受けています。その1例を紹介します。
これは私自身の生活実感ですが、パリの治安は、昔と比べて、かなり改善されたと思います。ルーブル博物館界隈で、子供達がグループになって、観光客を狙ってひったくりを繰り返していましたが、今は、見かけることがありません。犯罪の温床と言われた地下鉄は、明るく綺麗になり、老人や子供達があたりまえに乗車しています。そう言えば、地下鉄車内での1等と2等の区別もなくなっています。そして、当時と現在とで典型的に様変わりしたと感じるのは、市内で頻繁に発生した無差別テロ行為に怯えて生活する必要がなくなったことです。スーパーマーケットにしろ、公共施設にしろ、中に入る前に、手持ちの鞄の中を徹底的に調べられることはなくなっています。
最後に、パリの治安は良くなったと言っても、それは、昔の状況があまりに酷かったからです。油断はもちろん禁物です。
(国際部 パリ事務所 花井 祐)
*当機構の海外事務所から寄せられたニュースを紹介します。
☆ ウィーン事務所
<IAEAがウラン資源開発サイトで初のピアレビュー>
IAEAのウラン資源開発サイト評価チーム(Uranium Production Site Appraisal Team)は2月5日、ブラジル・バイア州カエチテ(Caetite)のウラン資源開発サイトで、2週間にわたる評価作業を終了しました。ブラジル原子力工業(INB)からの要請にもとづいて実施されたもので、当該サイトでの業務遂行は優れたものだと評価しました。
http://www.iaea.org/NewsCenter/News/2010/uranium.html
<ルーマニア・チェルナボーダ3,4号機建設計画が大きく前進>
カナダのAECL社とルーマニアのEnergoNuclear社は2月8日、ルーマニア国内唯一のチェルナボーダ原子力発電所3、4号機建設に向けて、技術的・経済的実現性評価のための契約に署名しました。
http://www.aecl.ca/NewsRoom/News/Press-2010/100208.htm
☆ パリ事務所
<仏電力株式会社(EDF)とアレバが使用済燃料の再処理問題で合意>
EDFとアレバ社は2月5日、使用済み燃料の再処理問題で合意しました。第1四半期末までに契約が調印される見込みです。
http://www.areva.com/FR/actualites-8194/accord-entre-areva-et-edf-sur-la-gestion-des-combustibles-nucleaires-uses.html
<仏電力株式会社(EDF)、2009年度の経常利益は10.7%減>
EDFが2月11日に発表した2009年度業績によると、同社の純経常利益は前年度に比べ10.7%減の39億2000万ユーロとなったことがわかりました。仏国内での電力需要低下や原子力発電所の稼働率低下が、その主な原因です。
http://press.edf.com/press-releases/all-press-releases/2010/2009-edf-group-results-80276.html
*上記の詳細は http://www.jaea.go.jp/saiyou/index.html をご覧下さい。
南国育ちの私は、春の小川はさらさらと流れるものと思っていました。けれども、北国ではそうではないようです。日本海側では冬に積もった山の雪が、春にいっせいに溶け出します。だから春先の川は濁流になって、どうどうと流れるというのです。
特に暖かい南風が吹きつけると、この融雪はいっきに進みます。それが何日も続くと「融雪洪水」になり、北陸の山里では昔から「春出水」と呼んでこれを恐れてきました。たしかに北陸の河川で起きる洪水の数は、台風のシーズンより春先の方が多いようです。
この「融雪洪水」は、もちろん日本に限った話ではありません。ロシアのエニセイ川などのように北極海に注ぐ大河川は春になると、水位は十数メートルも上昇し、幅は何と十数キロにも広がります。おまけにこれらの川では、南に位置する上流で最初に雪が溶けはじめても、北に位置する下流ではまだしっかりと、氷が張ったままの時があります。そんな時は溶けだした上流の水は横にあふれ、中流域の平野では大きな被害がでることがあります。
しかし、このような被害をもたらす山の雪も、そのほとんどはゆっくりと地下にしみこみ、清冽な流れとなって私たちの飲み水となり、田畑をうるおし、水力発電のタービンを回します。山の雪が、私たちにとってかけがえのないものであることは、今も昔も変わらないようです。(佐)
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【発行】独立行政法人 日本原子力研究開発機構 広報部 佐田務、上野信行 ○
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