━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2009.11.13 ━━━━━━━━

■■■□□□ JAEAメールマガジン
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++---- No.102 目次 ----++

現場から ____ 巨大な重量物を数ミリの精度で取り付ける遠隔保守ロボット(核融合研究開発部門)

海外事務所便り_ NRCが「安全文化ポリシー」案を公表 ほか

広報紙から___  米国のユッカマウンテン高レベル廃棄物処分場計画中止のその後の動向(原子力海外ニューストピックス)

プレス発表、お知らせ、採用情報、調達情報

あとがき

━ 現場から ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

巨大な重量物を数ミリの精度で取り付ける遠隔保守ロボット−核融合研究開発部門

将来の核融合炉では、ひとつが4トンもの巨大な重量物を数ミリメートルの精度で取り付け、取り外し、移動させるロボットが大活躍することをご存じでしょうか?

現在、日本、欧州、米国、ロシア、中国、韓国、インドが国際協力で進める国際熱核融合実験炉(ITER)は、フランス南部のカダラッシュで着々と建設が進んでいます。このITERでは、核融合炉の内部にある4トンの巨大な機器を保守・交換するロボットが必要であり、原子力機構がこのロボットを製作して納めることになっています。核融合炉の内部の構造物は、核融合反応で発生した中性子によって放射能を帯びるため、人間がすぐに直接近付けません。そこで、遠隔操作によるロボットが大活躍するわけです。ビークルと呼ばれる最大6メートルの伸縮可能な腕を持ったロボットが、核融合炉内に伸ばしたリング状のレールの上を動き、巨大な重量物を高い精度でしっかりとつかみます。これほどの重量物を高い精度で自由に扱う技術は非常に難しいものですが、大重量をしっかりと支える強固なレールの設置方法と、ロボットと重量物との位置関係を計測する方法に工夫をこらし、高精度を実現しました。10月に那珂核融合研究所で開催された施設見学会では、実際に子どもたちにこの巨大な遠隔保守ロボットの操作を体験していただきました。操作にチャレンジしている子どもたちの表情は、まるでロボットアニメの主人公になったように生き生きと輝いていました。

現在、私たちのグループでは、遠隔保守ロボットの製作を開始するための取決めを2010年10月にITER機構と締結するため、性能確認試験に取り組んでいます。最近では、核融合炉用遠隔保守ロボットの開発を通して、クリアすべき技術条件を明らかにしました。また、遠隔保守ロボットが扱うことができる物には、大きさや重さなどの制限がありますが、機器の設計は、これらの制限を超えたものになりがちです。このため、遠隔保守ロボットの立場から機器設計を統括的に実施し、遠隔保守ロボットでの取り扱いが容易になる設計提案を積極的に行っています。

今後、ITERで性能を発揮できるように、さらに準備を進め、私たちの技術がITERはもちろんのこと、将来の核融合エネルギーに貢献するための取り組みを行っていきます。なお、ITERの建設活動には多くの方々による協力参加が必要です。興味関心をお持ちの方は、ぜひご連絡頂ければ幸いです。http://www.naka.jaea.go.jp/ITER/recruit/koubo_midashi1.html

核融合研究開発については、こちらをご覧ください。http://www.naka.jaea.go.jp/

(核融合研究開発部門 ITERトカマク本体開発グループ 角舘 聡)

━ 海外事務所便り ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

*当機構の海外事務所から寄せられたニュースを紹介します。

☆ ワシントン事務所
<NRCが「安全文化ポリシー」案を公表>
 NRC(米国原子力規制委員会)は11月6日付の連邦公報において、「Safety Culture Policy Statement」案に対するパブリックコメントを90日間求めることを発表しました。
 http://edocket.access.gpo.gov/2009/E9-26816.htm

☆ ウィーン事務所
<IAEAのエルバラダイ事務局長が国連総会で演説>
 IAEAのエルバラダイ事務局長は11月2日、ニューヨークで開催されている国連総会で演説し、同氏のこれまでの任期12年間にわたるIAEAの業績などについて概要を紹介しました。
 http://www.iaea.org/NewsCenter/Statements/2009/ebsp2009n017.html

☆ パリ事務所
<EDFフラマンビル原発で溶接確認試験時に被ばく>
 仏原子力安全局ASNは11月4日、仏電力EDFフラマンビル原発で9月29日発生した作業員の被ばく事故をINESレベル2と評価しました。
 http://www.asn.fr/index.php/S-informer/Actualites/2009/Incident-a-la-centrale-nucleaire-EDF-du-Tricastin-Reacteur-n-2

<フランス、今冬に電力不足の可能性>
 RTE(仏高圧送電系統管理機関)は10月30日、この冬にフランスが長期的な寒波に襲われた場合、給電停止の可能性があると警告しました。
 http://www.rte-france.com/htm/an/accueil/viewdepeche.jsp?Id=9334&AnneeDP=2009

━ 広報紙から ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

*当機構が社外向けに発行している広報紙などからトピックスを紹介します。

(上記2件の詳細は「原子力海外ニューストピックス」2009年第5号http://www.jaea.go.jp/03/senryaku/topics/t09-5.pdfをご覧ください)

━ プレス発表 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

━ お知らせ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

━ 採用情報 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

*上記の詳細はhttp://www.jaea.go.jp/saiyou/index.htmlをご覧下さい。

━ 調達情報 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

━ あとがき ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

今回は時刻の話を一つ。

江戸のころの時刻は、日の出である卯の刻と、日没である酉の刻の時刻を基点に、昼と夜とを六等分して、それぞれに名前が付けられていました。だから昼が長い夏は、卯の刻から酉の刻までの間隔が長くなり、冬だと逆になります。要するに太陽がでている時間にあわせて、時間が伸び縮みしていたのです。

ということは、日没の酉の刻は、北海道で真っ先に始まり、だんだんと西にずれて、沖縄では1時間以上も遅れてその時刻となっていたことになります。もし、今もこのような時刻を採用していたならば、交通機関のダイヤは大混乱になっていたことでしょう。

ところが、この不定時法。当時は、とても合理的なルールでした。人々は夜明けとともに働きはじめ、日没で仕事をやめる。照明が普及していなかった時代には、太陽の明るさを行動の基準としていた生活のリズムこそが、理にかなっていたのです。

けれども今の世の中では、それぞれの地域に固有だった時刻が、その地域から引き剥がされ、国内ではどの空間でも共通の指標として位置づけられました。国内の時刻は標準化され、それは世界の時刻とも翻訳可能になったのです。

社会学者のギデンズは、「社会関係を相互行為の局所的(ローカル)な脈絡から引き離し、時空間の無限の広がりの中に再構築すること」を、脱埋め込みと呼びましだ。それがまさに、時刻をテーマに起こったのです。(さ)

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【ご感想やご要望】http://www.jaea.go.jp/13/13_1form.shtml

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【発行】独立行政法人 日本原子力研究開発機構 広報部  佐田務、上野信行 JAEAロゴ ○

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