再処理技術開発センター

原子力発電所で燃やされた使用済燃料の中には、燃え残りのウランと新しくできたプルトニウムと核分裂生成物(高レベル放射性廃棄物)が含まれています。 再処理技術開発センターでは、ウラン資源の有効活用のため、使用済燃料からウランやプルトニウムを分離、 回収する再処理技術の開発に取り組んでいます。
再処理することによって取り出されたウランやプルトニウムは、再び燃料として使うことができるので、再処理は核燃料サイクルの要として重要な役割を 果たしています。

核燃料サイクル工学研究所の再処理施設は、昭和46年6月に建設を開始し、昭和50年9月ウラン試験を開始しました。昭和52年には、使用済燃料を 初搬入し、試験を開始しました。昭和56年の本格運転以降、再処理設備の開発および改良技術を確立するとともに軽水炉使用済燃料再処理技術を 実証しました。 平成21年3月末までの、累積処理量は約1,140トンに達しています。

分離精製工場

分離精製工場は、再処理施設の中心となる施設です。この施設で再処理の主な工程が行なわれており、原子力発電所から運び込まれた使用済燃料からウランとプルトニウムが取り出されています。取り出されたウランとプルトニウムは、プルトニウム転換技術開発施設で混ぜ合わされて粉末に加工されます。再処理の工程で発生する高放射性廃液(核分裂生成物を含む非常に強い放射能をもった溶液)は、蒸発濃縮して廃液タンクに貯蔵された後、ガラス固化技術開発施設で固化処理されます。


中央制御室

ガラス固化技術開発施設

使用済燃料から分離された高放射性廃液は、ガラス原料とともに高温でとかされ、ステンレス製の容器(キャニスタ)入れます。固まって安定したものが、ガラス固化体で、日本ではこれを高レベル放射性廃棄物と呼んでいます。
ガラス固化技術開発施設では、高放射性廃液をガラス固化体にするための技術開発に取り組んでおり、平成21年3月末までに247本のガラス固化体を製造しました。


ガラス固化技術開発施設

プルトニウム転換技術開発施設

プルトニウム転換技術開発施設では、再処理により取り出したプルトニウム(硝酸プルトニウム)とウラン(硝酸ウラニル)の溶液を混ぜ合わせ、一種の電子レンジに入れて乾燥し、酸化物の粉末をつくります。この方法は「マイクロ波加熱脱硝法」という原子力機構が開発した技術です。
この粉末を貯蔵容器にいれ、プルトニウム燃料技術開発センターへ搬出し、焼き固めてペレットにし燃料集合体に組み立てます。


プルトニウム・ウラン混合酸化物

クリプトン回収技術開発施設

原子力発電所で核燃料を燃やした際に、核分裂生成物として放射性の希ガスであるクリプトン85が生成されます。クリプトン85は、使用済燃料の再処理の過程でガスになり、人の健康等に影響が出ないよう厳重な管理のもとに再処理施設の排気筒から大気に放出されております。クリプトン回収技術開発施設では、クリプトンを分離回収し、固定化する技術を開発しています。


クリプトン回収技術開発施設

アスファルト固化処理施設

アスファルト固化処理施設は、再処理の工程で発生する低放射性濃縮廃液をアスファルトと加熱混合、脱水し、ドラム缶に注入して固め、安定なアスファルト固化体とする施設であり、平成9年3月の火災・爆発事故までに約3万本の固化体を製造しました。事故以来、アスファルト固化処理施設における、固化処理運転は停止し、今後も運転は行いません。なお、原子力機構では、アスファルト固化処理施設に代わる新たな施設として、「低放射性廃棄物処理技術開発施設」を建設しています。


アスファルト固化処理施設

アスファルト固化処理施設爆発事故

平成9年3月11日、アスファルト固化処理施設にて火災・爆発事故が発生しました。 事故発生時に現場の建屋やその周辺にいた作業員のうち37名が被ばくしましたが、法令に定める放射線業務従事者の年間実効線量当量を下回っていました。 また事故後、環境周辺の放射線測定等調査しましたが、人の健康や周囲の環境に影響を与えるレベルではありませんでした。

事故の経過

(1)火災の発生

平成9年3月11日10時06分頃、アスファルト充てん室において火災が発生しました。水噴霧を1分程度行った後、室内に火が見えなくなったので火が消えていると認識し、水噴霧を止めました。この火災により、放射性物質が施設内に拡散し、放射線レベルの上昇が認められました。また、排気モニタでも一部の測定値にわずかな上昇が見られました。なお、周辺の環境モニタリングの結果には異常はありませんでした。

(2)爆発の発生

同日20時04分頃に爆発が起き、建屋の窓、扉等が破損し、煙が出ていることが確認されました。この爆発により、第1付属排気筒から放射性物質の放出が少量ありました。事業所敷地内のモニタリングポストの一部においても、20時40分頃から放射線測定値のわずかな上昇が見られましたが、21時以降は通常の変動範囲内に戻りました。なお、敷地外における放射線測定値については通常の変動範囲内でした。

(3)作業員への影響

本施設内および周辺の作業員について、全身測定を実施した結果、37名に微量な放射性物質の吸入摂取がありました。作業者の内部被ばくによる実効線量当量は、最大の者で0.4~1.6ミリシーベルトの範囲と評価されました。これは法令に定める年間の限度50ミリシーベルトを下回っています。


事故当時のアスファルト固化処理施設制御室内の状況

環境への影響

事故の影響を確認するため、事業所周辺の海や陸の環境等を調査しました。海については海水や海底土、陸については井戸水、雨水、土、野菜、牛乳、空気等の中に含まれている放射性物質濃度を測定しました。その結果を原子力安全委員会の環境放射線モニタリング中央評価専門部会や茨城県の環境監視委員会に報告し、「人の健康や環境に影響を及ぼすレベルではなかった」と評価されています。


ドラム缶搬出前のアスファルト充てん室内(R152)の状況

施設の現状

火災・爆発事故直後より、施設及びその周辺安全確保のための応急措置を鋭意進めました。これにより、施設の管理が可能となり、安全管理のための作業を実施してきました。その結果、施設内の除染、アスファルト充てん室(R152)内の充てんドラムの搬出、エクストルーダ内に残存していたアスファルト混合体の抜き出し等、主な作業を平成10年7月31日に終了しました。


除染作業終了後のアスファルト充てん室内

事故原因

火災が発生したと考えられるドラム缶への充てん作業は、通常と違った運転条件で行われていたため、ドラム缶内のアスファルトの温度が上がり 発火しました。また、消火後も十分に冷却されていなかったアスファルト固化体より可燃性物質が発生してセル内に蓄積し、自己発火したアスファルト固化体により着火し、爆発が起きたと考えられます。
今後・中長期的な観点から火災爆発原因の細部を特定するため、燃え残ったアスファルト塩混合物の分析や各種の試験・解析を引き続き行い、 同時に運転管理上の問題点に関する水平展開等の安全対策も行ってまいります。

今後の予定

運転管理上の問題点に対する今後取るべき対策 施設運転管理上の問題点に対する水平展開として以下の対策を行ってまいります。

  • 事故時の対応
    非常時の処置等の明文化、的確な状況・情報把握、迅速かつ適切な指示命令ができる体制の確立
  • 運転
    国内外の事故情報の積極的な収集、運転計画の十分な 評価・検討
  • 教育・訓練
    実際の事故に則した訓練、得られた教訓の運転マニュアルへの反映
  • 施設
    運転を監視する機器の適切な保守・整備、事故に配慮した施設設備の改善

施設の復旧

当面・施設内の放射線状況についての確認を行い、この結果に基づき施設内の規制区域の設定解除等の措置を行います。このほか、施設内整 備作業、仮設出入り管理用現場建家の解体を行います。
一方、今後の復旧工事については、施設の更なる安全管理のため・既設換気設備ダクトの一部の更新工事、放射線管理設備の更新工事を実施する予定です。 なお、アスファルト固化処理施設の利活用計画については、必要性、費用などを考慮しながら検討を進め、施設の安全性を評価し、施設使用上の安全性を確認した後、具体的方策を検討していく予定です。

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