安全と環境への取組み

核燃料サイクル工学研究所の緊急時対策

原子力発電所や再処理施設などの原子力施設は、多重の安全システムにより、施設の外へ放射線や放射性物質が漏れ出さないように設計されています。しかしながら、アスファルト固化処理施設の火災・爆発事故(平成9年)では放射性物質が施設の外へ漏えいし、地域ならびに国民の皆様に大変なご心配をお掛けするとともに、原子力施設の安全性に対する皆様の信頼を裏切ることとなりました。このアスファルト固化処理施設の事故及びJCOウラン加工施設で発生した臨界事故を教訓に、今後、地元の皆様の生活に重大な影響を及ぼすような事故を再び繰り返した場合には、私どもの事業の存続はないことを強く認識し、継続的に安全確保の強化に取り組むとともに、万が一の緊急事態に備えています。さらに、新潟県中越沖地震や東北地方太平洋沖地震の経験を踏まえ、大規模地震や津波に備えた対策についても検討し、整備を進めています。

緊急時の体制

「原子力災害対策特別措置法」に基づく「原子力防災組織」を始め、原子力事業者防災業務計画には必要な要員を配置することが明記されています。

異常な事態が発生した場合には、周辺市町村を含む関係機関へ通報するとともに、現地対策本部が核燃料サイクル工学研究所内の防災管理棟に設置され、事故発生施設の所掌部署には現場指揮所が設置されます。対策本部の構成員はあらかじめ指定されており、携帯電話等により数分以内には招集の連絡ができる体制となっています。

さらに核燃料サイクル工学研究所には、従業員等で構成される消防班が結成されており、特に火災に対する対応を整えています。また、危機管理対応班を設け、24時間の通報・連絡体制をとっています。

訓練時の現地対策本部の様子(コマンド室)
訓練時の現地対策本部の様子(コマンド室)

緊急時の対応組織
緊急時の対応組織

防災訓練

「防災業務計画」や「保安規定」に基づき、核燃料サイクル工学研究所では、「総合訓練」を毎年度実施しております。また、平成9年3月11日に発生したアスファルト固化処理施設の火災・爆発事故を教訓とするため、毎月11日を「保安強化の日」として、各部・センターで事故対応訓練や教育を実施し、事故への対応能力の維持、向上に努めております。さらに、国や地方自治体が主催する原子力防災訓練へも参加し、事故発生に備えた関係機関との連携の強化を図っております。

事故に備えた設備

事故を未然に防ぐことはもちろんですが、万が一の発生に備え、設備を整えております。事故の発生を迅速に検知するための「火災検知器」、「臨界警報装置」のほか、「消火設備」ならびに臨界を終息させた後に再臨界を防止する「中性子吸収材」などが設置されています。

中性子吸収材注入装置
中性子吸収材注入装置