第10回 超深地層研究所跡利用検討委員会 議事録

超深地層研究所跡利用検討委員会事務局

日時: 平成22年12月17日(金)15:00〜16:00
場所: 瑞浪市産業振興センター及び瑞浪超深地層研究所
出席者:
委員長
池永 輝之 
(岐阜経済大学教授)
 
副委員長
水野 光二
(瑞浪市長)
 
委  員
藤井 清敏
(岐阜県東濃振興局長)
 
委  員
竹内 正俊
(土岐市副市長)
委  員 水野  正 (瑞浪市総務部長)
 
委  員
日比野 昭
(瑞浪市議会議長)
委  員 松浦 勝男 (土岐市議会まちづくり特別委員会委員長)
 
委  員
市川 晴宣
(瑞浪市連合自治会会長)
委  員 有賀 佳代 (瑞浪市食生活改善推進協議会会長)
 
委  員
三輪 洋二
(土岐市連合自治会会長)
 
委  員
加納 英之
(瑞浪市明世町)
 
委  員
伊藤 征史
(瑞浪市明世町)
 
委  員
日比野安平
(岐阜県先端科学技術体験センター館長)
 
委  員
三代 真彰
(原子力機構理事)
 
委  員
吉田 東雄
(原子力機構東濃地科学センター所長)
(欠席:坂 正光(岐阜県環境生活部長)、苗村 公嗣(資源エネルギー庁放射性廃棄物等対策室長)、辻倉 米藏(原子力機構副理事長))
  事務局:原子力機構
国・自治体関係:資源エネルギー庁、中部経済産業局、岐阜県、瑞浪市、土岐市
傍聴者:4名
プレス:2社(中日新聞、岐阜新聞)

議 題:
(1)超深地層研究所計画の状況について
(2)瑞浪超深地層研究所の施設活用について
(3)その他

配布資料:
第10回超深地層研究所跡利用検討委員会次第
超深地層研究所跡利用検討委員会名簿
〔資料−1〕超深地層研究所計画の状況について
〔資料−2〕瑞浪超深地層研究所の施設活用について(PDF)
瑞浪超深地層研究所の現状(スライド資料−1)(PDF)
瑞浪超深地層研究所の施設活用について(スライド資料−2)(PDF)

1.開会
事務局より出席者の紹介

2.挨拶
(1)池永委員長
 現在、瑞浪超深地層研究所では、深度約460mまで立坑の掘削が行われ、調査研究が行われていると聞いている。研究所は学術研究の場としての利用だけではなく、地域振興などの幅広い活用の可能性を持っていると考えられる。昨年度開催した第9回の委員会においては、体験学習の場などの施設活用について機構から説明があった。今回の委員会においても、機構から研究所計画の報告と合わせて、前回の委員会の開催以降の取り組み状況を説明いただき、議論を進めて参りたいと考えている。委員各位のご協力のもと活発な議論を行い、施設の有効活用、そのための方策を提案したいと考えている。よろしくお願いしたい。

(2)原子力機構(三代理事)
 原子力機構は独立行政法人であり、国が示した中期目標に基づき中期計画を策定し、研究開発に取り組んでいる。今年度開始した第2期中期計画では、超深地層研究所計画に関して、深地層環境の深度である地下500m程度まで坑道を掘削しながら調査研究を実施する、また、平成26年度までに、地質環境の調査手法など、地上からの精密調査の段階に必要となる技術基盤を整備し、実施主体や安全規制機関に提供する、としている。 瑞浪超深地層研究所の立坑は深度約460mまで掘削されており、現在、深度300mの水平坑道を中心に調査研究を進めているところであり、今年度から、研究坑道の掘削を伴う研究段階である第2段階の調査研究と並行して、研究坑道を利用した研究段階である第3段階の調査研究を開始している。今後も中期計画に基づき、着実に取り組んでいきたい。 また、同中期計画では、深地層の研究施設の見学などを通じて、情報を適切に公開し、国民との相互理解促進に引き続き貢献するとしている。先月、研究所の見学者の累計が2万人に達したところであり、今後も施設の公開などを積極的に進め、国民との相互理解の促進に寄与していきたい。 研究所では、岐阜県や瑞浪市、土岐市との協定に基づき、排水などの管理を適切に実施しながら、事業を行っているところである。今後も万全の環境対策を行いつつ、進めて参りたい。 本委員会は、研究終了後の研究所の利用計画を策定するためのものであるが、跡利用に限らず、これからの研究の推進についてなど、幅広いご意見を賜りたい。 本日の委員会においては、昨年の委員会開催以降の取り組み状況をご報告申し上げることとしており、委員各位から忌憚のないご意見を賜りたく、よろしくお願いする。

3.議事
(1)超深地層研究所計画の状況について
 瑞浪超深地層研究所の現状について、事務局より資料に基づいて説明。主な質疑・コメントは以下のとおり。

(市川委員)

 先程の説明も踏まえて考えると、この事業が順調に進んでいると思う。当初20年という期間が示されたが、それから順調に進んできていると、地元として理解をしているが、それでよいか。

(事務局)

 当初の計画に比べると掘削進捗としては若干遅れているが、様々な制約の中で最大限の進捗となっている。予算等の状況にもよるが、来年度までには立坑深度は500mまで到達する予定であり、その後、深度500mにおいて水平の坑道を展開し、深度500mでの研究に移行していきたいと考えている。
(加納委員)

 昨年施設の見学に行った際に、地下水は処理した後に狭間川に放流している旨の説明を受けたが、その説明通りに適切に処理されていることを信じる。

(事務局)

 天然由来のふっ素の濃度が環境基準よりも約十倍高いが、これらを処理した上で放流している。湧水、排出水ともに水質分析を定期的に行っており、その結果はホームページでも公表している。また、毎月地元に配布している広報資料においてもお知らせしている。
(松浦委員)

 本日の新聞に誤解を招くような情報発信があった旨の記事があった。記事によれば、放射性物質を用いた実験を行ったと受け取れる挨拶があったようである。先日の市議会の委員会においても話題になったが、言葉をちょっと間違えただけでは済むような話ではないと実感しているが。

(事務局)

 今朝の新聞記事については、地層処分研究開発部門の部門長のホームページ上の挨拶に関することであり、茨城県東海村、北海道幌延町、東濃での研究の紹介が混在した文章になっており、地下の研究施設においても放射性物質を使った研究を行っていると誤解を招く表現があった。実際には、放射性物質を使った研究は茨城県東海村の施設で行っており、東濃と幌延における地質環境を対象とした研究とあわせて研究開発を進めている。
(松浦委員)

 瑞浪における研究では放射性物質を使っていないという理解でよいか。

(事務局)

 瑞浪では、密封線源を用いた測定器のように、一般的なボーリング調査において使用されるようなものを用いることはあるが、放射性であるということに特別な目的をもって、人工的な放射性物質や放射性廃棄物を扱った研究をするということはなく、そういった予定もない。

(2)瑞浪超深地層研究所の施設活用について
 研究所における体験学習への取り組みや情報発信、深度300mステージの活用状況、見学用説明資料およびパネルの改良について、事務局より資料に基づき説明。主な質疑・意見は以下のとおり。

(池永委員長)
 東濃地科学センターのホームページへのアクセス数はどのくらいか。

(事務局)

 毎月10万を超えるアクセスがある。
(日比野昭委員)

 跡利用という観点で、機構が撤退し、仮に瑞浪市や土岐市が施設を引き継いだ場合、現実問題として財政的にそれが可能であるか等、現時点での機構の考えはいかがか。

(事務局)

 当面は、現在の施設活用の状況を報告させていただき、将来の施設利用につながるような方策について、ご意見やご提案を受け、検討していきたいと考えている。
(三輪委員)

 地下水や岩石などの有効活用として、民間企業等との共同により地元産業の陶器などに利用できないか。 また、高レベル放射性廃棄物の処分地が決まらなかった場合、誰が責任をとるのか。

(事務局)

 研究所の地下水はアルカリ性であり、飲料水にはあまり適していない。花崗岩については、発破により掘削しているため細かく砕かれており、製品化は難しい。なお、原子力機構は、放射線利用など様々な技術を持っており、技術の産業分野等への応用展開について紹介をさせていただいており、多治見市におけるビジネスフェアへの出展や地元の陶磁器組合への技術紹介などを行っている。 また、高レベル放射性廃棄物の処分については、原子力機構は研究機関であり、原子力発電環境整備機構が処分事業の実施主体であることから、原子力発電環境整備機構が責任をもって高レベル放射性廃棄物の処分事業を進めていくというフレームワークである。
(市川委員)

 瑞浪超深地層研究所の事業について、一般市民への説明の機会があまりないように思われる。跡利用といった将来的な課題という観点からも、できれば瑞浪市内、土岐市内への説明を小学校区ごとに行ってほしい。これからの市民の理解醸成にも役立つと思う。

(事務局)

 毎年事業説明会として、前年度の報告や当該年度の計画等について、市町村や地元区等、20箇所以上を対象に説明を行っている。また、適宜見学の受け入れも行っており、先日見学者が2万人に達したところである。展示コーナーにおいても、地下で我々が行っている研究の内容などをわかりやすく紹介できるよう、工夫していきたい。
(日比野安平委員)

 先日、東濃鉱山の隣にある無重量研究所に「はやぶさ」に関する実験を目的としたJAXA(宇宙航空研究開発機構)の来所があったと聞いた。このような利用かあるいは、共同研究に関する紹介において名古屋大学など含まれていたが、宇宙線を用いたカミオカンデのような研究を目的に施設の利用はできないか。

(事務局)

 無重量研究所の実験施設については、現在は事業を終えられている。東濃鉱山を利用して実施されている名古屋大学によるニュートリノに関連する研究については、瑞浪超深地層研究所における研究の実施について話し合いを始めたところである。
(池永委員長)

 施設活用に関わる議論においては、市民への理解を深めるといった課題が出たように思われる。これについては、より工夫をされ対策を検討していただきたい。最近では、若い学生の理科離れが論じられるが、科学の面白さなどを伝えていただけるよう、教育委員会等とタイアップしながら、子供たちに科学について関心を持ってもらえるような催し物を企画していただきたい。


4.閉会の挨拶
(水野副委員長)

 研究所では、掘削技術をはじめ、最先端の研究をされているわけであるが、それらの成果を地域はもとより全国へ発信していっていただきたい。また、施設の利用については今後しっかり検討していきたいと思う。本日は委員の皆様ありがとうございました。


5.その他
委員会終了後、瑞浪超深地層研究所を視察
 

以 上