3_2_1 坑道埋め戻しの設計および方法
達成目標
坑道埋め戻しの設計では,工期と予算を考慮し,坑道(立坑,水平坑道など)の形状,構造(覆工コンクリート,吹付けコンクリート,鋼製支保工,ロックボルト,裏面排水材など)および坑内設備などを考慮し,坑道の埋め戻しと地上および坑内既存設備などの撤去方法を検討することを目標とします。
瑞浪超深地層研究所における実施例
設計では,工期や予算を考慮して,施工環境(深度や湧水量など)を考慮し,埋め戻し材の運搬と埋め戻し工法,埋め戻しの進捗に応じた湧水対策および坑内設備(電気・換気・給排水・安全設備など)の盛替え並びに撤去方法について検討します。
瑞浪超深地層研究所における研究坑道では,坑道を構成する支保(覆工コンクリート,吹付けコンクリート,鋼製支保)の撤去は坑壁崩壊につながる可能性があることから,埋め戻し工事の安全性を確保するため,支保を残置し現状の安定した状態で埋め戻しを行うこととしました。
埋め戻し材は,堆積場で保管されている掘削土(約4,500m³)を深度500mステージに使用し,それより浅部は経済性,施工性の観点から購入砂を使用することとしました。
立坑内は坑道の深度までズリキブル(立坑部の資機材運搬設備)を降下させ,埋め戻し材をキャリアダンプに積み込みます。埋め戻し場所付近までキャリアダンプを走行させて埋め戻し材を運搬し,埋め戻し場所付近で埋め戻し材を積みおろし,バックホウまたはホイルローダなどを用いて巻出し転圧を行います(図1)。坑内仮設備(排水ポンプ,送風管,照明,安全設備など)については,埋め戻しの進捗に合わせ順次盛り替えまたは撤去していきます。
工程の検討では,埋め戻し材の運搬距離に応じた施工回数を求めるため,「立坑部の埋め戻し材運搬に要する時間」,「水平坑道内の埋め戻し材運搬に要する時間」,「水平坑道内での巻出し・敷均し・転圧に要する時間」を比較した結果,各深度で最も時間を要する作業が異なるため,三者のうち最も時間を要する作業をもとにサイクルタイムを決定し,工程検討を行いました。なお,ズリキブルの容量は,1回に立坑内で運搬可能な埋め戻し材の土量として,元々のキブル容量の80%(主立坑は4.8m³,換気立坑は2.4m³)として検討しました。
地上設備の撤去対象物は基礎を含む,櫓設備,櫓防音ハウス(杭基礎),巻上機室(杭基礎),コンクリートプラント(杭基礎),受変電設備,非常用発電設備,地上配管,管理棟,車庫棟,堆積場の掘削土や暗渠排水管などになります。