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国立研究開発法人日本原子力研究開発機構

高レベル放射性廃棄物の地層処分研究開発

 用語集

あ行か行さ行/た行/な行は行ま行や行ら行参考文献

た行

TRU廃棄物(長半減期低発熱放射性廃棄物)
再処理施設及びMOX燃料加工施設から発生する低レベル放射性廃棄物で,ウランより原子番号の大きい放射性核種(TRU核種)を含む。放射能レベルに応じて浅地中コンクリートピット処分,余裕深度処分,地層処分のいずれかにより処分される。
帯水層
地表面下にある水を含んだ層であり,井戸あるいは泉に対してかなりの水の供給ができるもの。(参考【2】から引用)
堆積岩
海底や河床などに運ばれた泥や砂などの堆積物や火山噴出物などが固まってできた岩石。地層処分において,一般的に用いられる岩石分類の一つ。結晶質岩と対比すべき重要な特徴として,とくに新しい時代の固結度の低い堆積岩は,水理学的には多孔質媒体(岩石の粒子の間の間隙中を均一に地下水が移動する)の性質が強く,工学的には軟岩として扱われる。例:泥岩 (⇔結晶質岩)
第四紀
地球が誕生して以来の約46億年の歴史のうち,最も新しい地質時代。約180万年前から現在までを指す。
多孔質媒体
岩盤中の地下水(および地下水中に含まれる物質)の移動を解析する上での岩盤の分類の一つ。移動の方向に対して,連続する微細な空隙が空間的に均一に存在することを仮定して,その中の物質の移動を取り扱うことができる。
例:(亀裂が発達していない)砂岩,泥岩等の堆積岩
多重バリアシステム
放射性廃棄物等を,長期間にわたり生物圏から隔離し,放射性物質の移動を抑えることにより,処分された放射性廃棄物による影響が,将来にわたって人間とその環境に及ばないようにするための多層の防護系から成るシステム。人工的に設けられる人工バリアと,天然の岩盤である天然バリアにより構成される。(参考【1】から引用)
段丘
川,海,湖などに隣接していて,平坦な面と急傾斜の崖が階段状に配列している地形。平坦面はかつての氾濫原や海底などに相当し,それぞれの起源を示す特徴が残されている。それらの特徴を,現在の分布や高度とあわせて検討することにより,環境の変化や地形の発達史などを推定することができる。たとえば,海岸の段丘が形成された年代と現在の高度により,隆起量を推定することができる。
地下水シナリオ
処分場に埋設された高レベル放射性廃棄物等に地下水が到達し,廃棄物中の放射性物質が地下水によって運ばれることにより,その影響が生物圏へ及ぶことを想定するシナリオ。(参考【1】から引用)
地質環境
地層処分の観点からみた地下の環境。岩盤とそこに含まれる地下水などからなる。  (→地質環境条件)
地質環境条件
地層処分の観点からみた地質環境の条件。岩盤や地下水の物理・化学的な性質(地質環境の特性)とそれらの長期にわたる安定性(地質環境の長期安定性)にわけてとらえることができる。地質環境の特性としては,人工バリアの設置環境及び天然バリアとしての機能の観点から,地下水の流動特性,地下水の地球化学特性,岩盤の熱特性・力学特性及び岩盤中での物質移動特性が重要である。
また,地質環境の長期安定性としては,これらの岩盤や地下水の性質に大きな変化を及ぼす可能性のある天然現象(地震・断層活動,火山・熱水活動,隆起・侵食/気候・海水準変動)の発生の可能性やそれらによる影響が重要である。
地質時代
地球が誕生した約46億年前から現在までの時間の流れを,地質の積み重なりの順序や化石産出などに基づいて区分したもの。古い方から,先カンブリア時代,古生代,中生代,新生代に大別され,それぞれの代は,さらに,紀,世,期に細分される。新生代は,古い方から,古第三紀(約6,600万年〜約2,300万年前),新第三紀(約2,300万年前〜約260万年前),第四紀(約260万年前〜現在)に区分される。新第三紀よりも古い時代(古第三紀以前)を先新第三紀と呼ぶ。
地質年代表
International Commission on Stratigraphy  “Chart/Time Scale”による)
年代(百万年前)
新世代 第四紀 完新世 0.01〜現在
更新世 2.6〜0.01
第三紀 新第三紀 鮮新世 5.3〜2.6
中新世 23.0〜5.3
古第三紀 漸新世 33.9〜23.0
始新世 56.0〜33.9
暁新世 66〜56.0
中世代 白亜紀   145〜66
ジュラ紀   201〜145
三畳紀   252〜201
古世代 二畳紀   299〜252
石炭紀   359〜299
デボン紀   419〜359
シルル紀   443〜419
オルドビス紀   485〜443
カンブリア紀   541〜485
先カンブリア紀 4,600〜541
地層処分
高レベル放射性廃棄物等を地下数百メートルより深い安定な地層中に隔離する方法をいう(日本では法律により地下300m以深と定められている)。安定な場所に,人工バリア天然バリアからなる多重バリアシステムを構築することにより,長期にわたって放射性廃棄物による影響が人間やその生活環境に及ばないようにすることを目的とする。
なお,地質学では堆積岩などの成層構造をなした岩盤に限定して「地層」と呼ぶが,「地層処分」における「地層」は,地質学上の堆積岩を指す「地層」と,地質学上は「地層」とみなされない火成岩などの「岩体」を総称している。
地層処分システム
適切な地質環境の下に多重バリアシステムを構築することによって,処分された高レベル放射性廃棄物による影響が将来にわたって人間とその生活圏に及ばないようにするための仕組み。(参考【1】から引用)
天然バリア
処分した放射性廃棄物から放射性物質が生活環境へ移行することを抑制するための,天然の岩盤からなる障壁。人工バリアとあわせて,多重バリアシステムを構成する。
同位体(放射性同位体,安定同位体,酸素同位体)
原子番号が同じで質量数が異なる核種。このうち,放射性崩壊により他の核種に変化する同位体を放射性同位体,放射性崩壊しない同位体を安定同位体と呼ぶ。
天然における安定同位体(酸素,炭素,窒素,イオウなど)の存在比はほぼ一定であるため,その微小な変化をとらえることにより,環境の変化を推定することができる。例えば,天然の酸素には質量数16,17,18の三つの安定同位体が存在するが,温暖な時期と寒冷な時期では,海水中に含まれる酸素の安定同位体比がわずかに変化することから,海底堆積物中の有孔虫の殻に含まれている酸素の安定同位体比を調べることにより,過去の気候や海水準の変化を推定することができる。
一方,放射性同位体は,時間の経過とともにその存在比が減少していくため,年代測定に利用できる。とくに,質量数14の炭素(14C)や質量数3の水素(3H:トリチウム)などは,地下水の年代測定に広く用いられている。(→核種)
透水係数/透水量係数
いずれも岩盤中での水のとおりやすさを示す係数。透水係数は,動水勾配が1のときに,単位面積あたりを流れる水の速度(ms-1)で表す。透水量係数は,透水係数に帯水層の厚さや割れ目を乗じたもの(単位はm2s-1)。  (→動水勾配)
動水勾配
地下水の動きを決める要因のひとつで,地下水が流れる方向の単位距離あたりの水圧(正確には水頭)の差をいう。地下水は,水圧の高い方から低い方へ移動するので,水圧の高さが同じところを結んだ等水圧線に対して垂直の方向が動水勾配の方向となる。
トンネルボーリングマシン(TBM:Tunnel Boring Machine)
ディスクカッターあるいは切削ビットのついたカッターヘッド(刃先のついた面板)を回転させることにより岩盤を圧砕,切削しながら坑道の全断面を一度に掘削していくトンネル掘削機の総称。掘削されたズリ(岩盤の破片)はベルトコンベア等によって搬出される。均質な岩盤には優れた掘削能力を発揮し,坑道周辺岩盤に与える掘削時の損傷も小さいという特長を持つ。

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