日本原子力研究開発機構

安全研究・防災支援部門原子力緊急時支援・研修センター

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原子力緊急時支援・研修センター(以下、支援・研修センター)では、原子力防災に係る国際機関との連携、及び海外原子力防災関係者との情報交換などの国際協力を行っています。


原子力国際機関(IAEA)との連携

国際機関との連携としては、IAEA 国際緊急時対応演習 ConvEx への参加、緊急時対応ネットワーク(RANET)の活動、及びアジア原子力安全ネットワーク(ANSN)の緊急時対応グループ(EPRTG: Topical Group on Emergency Preparedness and Response)活動などがあります。

国際緊急時対応演習(ConvEx)

1986年に起きたチェルノブイリ原子力発電所事故を契機に、IAEAの2つの条約、すなわち「原子力事故の早期通報に関する条約」及び「原子力事故又は放射線緊急事態の場合における援助に関する条約」が締結され、日本では1987年に発効しました。この枠組みの実効性の確認と継続的な改善等を目的として、IAEAは国際緊急時対応演習(ConvEx:Convention Exercise)を実施しています。なお、この演習の仕組みについては、支援・研修センターのウェブサイト 原子力防災情報 第14回「IAEAの国際緊急時対応演習(ConvEx)について」で紹介しております。

原子力機構はIAEAの緊急時対応援助ネットワーク(RANET)に登録していることから、国とIAEAとの間で行われるConvExに参加しています。平成29年度に支援・研修センターは、原子力規制庁から通報のあった以下の演習に参加しました。

ConvEx-2b演習への参加

ConvEx-2b演習は、RANETに基づく援助の要請及び提供に係る仕組みを試験する演習で、年に1回実施することになっています。平成29年は、12月6日(日本時間)にConvEx-2bの訓練に関する情報共有のメールを原子力規制庁から受信しました。支援・研修センターの関係者を集合させるとともに、センター長等の責任者と連絡をとりつつ、原子力機構が対応できる支援内容について検討を行い、原子力規制庁へ回答を送付するなど緊急時対応訓練を行いました。

緊急時対応援助ネットワーク(RANET)

国際原子力機関(IAEA)からの要請を受けては、「原子力事故又は放射線緊急事態の場合における援助に関する条約」に基づくIAEAの緊急時対応援助ネットワーク(RANET)へ、原子力機構、放射線医学総合研究所(現在:量子科学技術研究開発機構)、広島大学の3機関を日本国内から助言等を通じて要請国に支援(EBS)を行う機関として平成22年6月に登録しました。

RANETは、原子力及び放射線事故への各国の支援を円滑に実施することを目的にした活動です。原子力機構は、平成22年当時は7分野において日本国内からの支援(EBS)方式の対応能力がある機関として登録されました。その後、RANETにおける援助分野の変更がなされ、以下の5分野に対応しています。

  1. 放射線測定
  2. 環境汚染調査
  3. 放射線事故評価
  4. 原子力施設事故評価
  5. 被ばく評価

登録以降、4件の要請があって対応しました。しかし、より近くの国が援助を実施する、あるいは原子力機構が登録している援助事項でなかったとの理由により、原子力機構が実際の援助を行うまでには到りませんでした。

問合せ時期 対象国 依頼内容 機構回答
2010年8月 ベネズエラ カテーテル挿入による心臓病治療の際のX線過剰照射患者の医療処置と線量再評価 線量再評価のみ
2012年2月 ペルー 非破壊検査に伴う高線量被ばく者への医療処置 医療案件であり登録外
2016年6月 ジョージア 1997年Lilo過剰被ばく事故の患者の容体変化に伴う医療処置 医療案件であり登録外
2020年8月 レバノン ベイルートで発生した爆発事故で、病院等に保管されていた放射性核種が飛散していないかを確認するための環境試料分析のクロスチェック 汚染試料の輸入が困難であるので不可

アジア原子力安全ネットワーク(ANSN)の活動

アジア原子力安全ネットワーク(ANSN)の防災・緊急時対応専門部会(EPRTG)は、IAEAの下でアジア諸国の原子力災害対応体制を強化するための活動を行っています。原子力機構の支援・研修センターは、2006年にANSNの下に緊急時対応グループ(EPRTG)が発足して以降、継続的にEPRTG のコーディネータを務めてきました。

平成29年(2017年)には、「放射線緊急事態における情報交換及び緊急事態への準備・対応の調整協力」に関するANSN地域ワークショップをIAEA本部(ウィーン)で6月12日から14日に開催しました。また、第13回のEPRTG年会を同本部にて6月15日及び16日に開催しました。


海外原子力防災関係者との情報交換

原子力機構は、韓国原子力研究所(KAERI)と原子力平和利用の分野における協力取決めを平成30年9月まで結んでいます。その協力項目の中に「原子力緊急時支援技術開発」があり、協力は平成20年9月から開始されました。過去に4回(2009年、2012年、2013年、2015年)情報交換会合を開催しました。2015年には、11月にKAERIから3名が来訪し、情報交換を実施しました。KAERIでは、2011年3月に日本で起きた原子力事故を契機に、モニタリング車を導入することになり、今回は、当センターにあるモニタリング車を中心として情報交換を実施しました。また、研究炉の防災に関しては、原子力科学研究部門の研究炉加速器管理部から情報提供を行いました。

そのほか、2015年4月には、韓国原子力医学院(KIRAMS)から3名が来訪し、韓国で全身カウンタ車導入を検討するため、意見交換を行いました。当センターの全身カウンタ車の装備や使い方、福島での利用の状況についての調査に協力しました。11月には、韓国原子力安全技術院(KINS)から5名が来訪し、KINSで開発した無人ヘリ搭載検出器を用いた測定及び原子力機構の測定器とのベンチマーク試験を実施しました。

また、2015年にはフランス放射線防護原子力安全研究所(IRSN)とは、2回にわたって今後の情報交換について協議しました。

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