日米原子力研究開発シンポジウム

6月21日に、当機構ワシントン事務所の主催により「日米原子力研究開発シンポジウム」がワシントンにて開催されました。

米国側からは、エネルギー省(DOE)、原子力規制委員会(NRC)等政府関係者、元米国政府高官、国立研究所専門家、原子力エネルギー協会(NEI)等原子力産業関係者等が参加し、日本側からは原子力機構関係者、政府関係者(文部科学省等)、東京大学関係者、ワシントン駐在の日本企業関係者が参加しました。

冒頭挨拶として、当機構から、3月に策定した国際戦略に基づく海外事務所の活動強化の最初の試みとしてワシントンでシンポジウムを開催することにしたこと、シンポジウム開催に向けての関係者の協力への謝意、原子力分野における日米研究開発協力の重要性、更なる拡大、深化への期待等が述べられました。DOE関係者からは、当機構がシンポジウムを主催したことへの謝意が述べられるとともに、日米民生用原子力研究開発ワーキンググループ(CNWG)の枠組みを通じた新たな協力や施設利用(常陽や米国の試験炉等)を伴う協力の重要性、6月上旬のペリー長官の訪日、日本が高速炉開発を継続していくことの重要性、米国が今後、検討する高速試験炉に関する日米の協力の可能性等が述べられました。

基調講演として、当機構から、我が国の原子力利用の全体状況、原子力機構のミッション、役割、最近の動向、課題について述べた上で、課題に対処していくためには、国際社会との連携、協力が不可欠であること、特に米国は当機構にとって多くの分野での重要なパートナーであり、二国間協力でもマルチの場においても更に協力を拡大、強化していきたいと考えていることが述べられました。米国政府の元高官からは、日本の原子力利用への提言として、経済性、安全保障、気候変動への対応の観点から、日本が原子力利用を継続することの重要性、東京電力福島第一原子力発電所事故を受けたハード面、ソフト面での原子力安全の強化の重要性と日本の取組に対する評価、公衆の信頼を回復する取組の重要性(opennessとtransparencyがキーであること)が述べられました。

その後、2つのテーマでパネル討論が行われ、最初のパネル討論では、日米原子力協力のこれまでの経緯や両国の原子力利用における課題が取り上げられました。まず、米国政府の元高官から、トランプ政権は原子力を強く支持していること、原子力は日米両国にとって重要であり、首脳間の信頼関係の下で、日米の原子力協力が発展することへの期待が述べられました。当機構関係者から東京電力福島第一原子力発電所の廃止措置に資する我が国全体の研究開発の体制、その中での当機構の廃炉国際共同研究センター(CLADS)の役割、取組、日米協力の現状及び期待(新たな共同研究や福島リサーチカンフェレンスへの米国人専門家の参加等)が述べられました。米国の原子力専門家からは、スリーマイルアイランド原子力発電所事故、東京電力福島第一原子力発電所事故を経験した両国がシビアアクシデントの解析の分野で協力することの重要性が述べられました。東京大学関係者からは我が国の官民のパートナーシップによる原子力人材育成の取組(原子力人材育成ネットワーク)、東京大学における原子力人材育成の取組やIAEAとの連携等が紹介されました。その後の議論の中で、今後の原子力利用の継続や福島における廃炉の取組にあたっては若手の原子力人材の確保が重要であり、いかに若手をモチベートしていくかが課題として認識されました。

2つ目のパネル討論では、新型炉の研究開発に焦点を当て、両国の今後の協力の方向性が議論されました。DOE関係者から、ペリー長官は原子力エネルギーの強力な支持者であり、米国は安全保障の観点から、現状の軽水炉の有効活用とともに、中小型炉や先進炉など新たな原子力技術を開発、導入していくことが重要であるとし、これらに関するDOEの取組(原子力におけるイノベーションを加速するためのゲートウェイ(GAIN)の開始、新たな試験研究炉(高速炉)の導入検討等)の現状、CNWGの枠組みでの日米協力の現状が紹介されました。文部科学省関係者から、原子力政策に関する日本の政府組織、研究炉の稼働状況、原子力研究開発の状況(特に高速炉、高温ガス炉の開発に関する文科省の取組)、原子力人材育成の取組等が紹介され、今後の協力の方向性として、日米相互の施設利用を伴う協力、そのためにまずは利用のニーズがある施設の同定が必要であることが言及されました。NEI関係者からは、米国の原子力産業が直面している、原子力発電炉の早期閉鎖等の難局を乗り越えるためには革新的な原子力技術の開発が必要であるとし、米国産業界による先進炉の開発への関心が高まっている状況(約20の企業が関心)が述べられるとともに、日米が共同して先進炉を開発し、国際的に導入していくことの重要性が述べられました。当機構関係者からは、高速炉サイクル及び高温ガス炉に関する原子力機構の研究開発、関連施設、日米協力の現状が紹介され、研究開発を継続していくリソースが限定される中で、両国が有する知見や研究開発インフラを共有する形での日米協力への期待が述べられました。

最後に、各モデレータによるラップアップの後、当機構関係者から閉会挨拶として、本シンポジウム参加への謝意、今回のシンポジウムで議論された施設の共同利用、人材育成に関する協力、また今回の議論では取り上げられなかったものの重要な課題である先進炉の規制の整備等に関して、今後、日米間で議論をしていくことへの期待が表明されました。

米国エネルギー省(DOE)等の原子力政策のキーパーソンや、原子力研究開発に知見を有する有識者に参加いただき、原子力研究開発分野における両国のパートナーシップの重要性に関する認識を共有するとともに、今後の協力の方向性について議論する有用な場となりました。今後、他の海外事務所も含め、同様のイベントを継続的に開催していく予定です。