核不拡散ニュース No.0084 2008.02.22
<米国の追加議定書批准に向けた動き>
<ロシアとインドが新たな原子炉の建設に関する協定を締結>
2008年2月11日、ロシア原子力庁(Rosatom)のスパスキー副長官とインド原子力発電公社(NPCIL)のジャイン社長は、インドのクダンクラムにおいて新たに4基の原子炉を建設するための協定への仮署名を行った。クダンクラムでは現在、2基の原子炉が既に建設中である。ただし、協定の下での原子炉の輸出にあたっては、原子力供給国グループ(NSG)ガイドラインが要件とする包括的保障措置の適用に関して、インドを例外扱いにする合意が、参加国の間で得られることが必要であることは、米印原子力協力協定の場合と同様であり、現在のところ、NSGの場での議論の目処は立っていない。
2008年2月4日、ブッシュ大統領は追加議定書の履行に関する行政命令を発出した。本行政命令は、国務長官、国防長官、商務長官、エネルギー長官、司法長官、原子力規制委員会(NRC)に対し、追加議定書の下での米国の義務の履行に必要な規則、命令等を整備することを命じたものであり、追加議定書の批准に向けた環境整備と位置づけることができる。
核兵器国である米国は、IAEAとの間でボランタリーオファー保障措置協定(1977年11月18日署名、1980年12月9日発効)を締結しており、「査察可能な施設」(eligible facility)のリスト(米国の安全保障上、直接的な重要性を有する活動に関連する施設は除外)をIAEAに提出し、IAEAはその中から実際に査察の対象となる施設を選択するシステムが採用されている。米国はIAEAの間で、1998年6月12日、追加議定書に署名した。2004年3月には上院の批准に対する同意が得られ、2006年12月には追加議定書履行に関する国内法が発効したものの批准には至っていない。
(情報ソース)
【報告:政策調査室 山村】