8月21日、IAEAとイランは「未解決の問題の解決に関する手順に関する了解事項」に合意した。同行動計画は、イラン政府からの要請に基づき、8月27日にIAEAから公表された。
本件は、6月22日のエルバラダイIAEA事務局長とラリジャニ・イラン最高安全保障委員会事務局長による、イランの原子力計画における「未解決な問題」を扱うための行動計画案策定の合意(核不拡散ニュースNo.0058参照)に基づき、数次にわたる実務レベルの会合の結果、個々の「未解決な問題」解決の手順、期限に合意したものである。
今回、解決に向けての手順、期限が合意された未解決の事項には、現在の活動に係る問題として、濃縮計画やアラクにある重水炉等、また、過去の活動に係る問題として、プルトニウム実験やP1.P2遠心分離機の問題等が含まれている。
本合意で特徴的なことは、(1)ここで取り上げられている項目が未解決な問題の全てであることをIAEAが確認することにより、将来、IAEAが他の問題を取り上げる可能性を排除していること、(2)IAEAの質問に対して、イランは必要な情報等を提供することが規定されているのみで、イランが提供する情報をIAEAが検証する手段については何も規定されていないことなどであり、欧米の国際安全保障に関係するシンクタンク等では欠陥の多い合意であるなどとして問題視している。
仮に、合意に沿った形で、「未解決な問題」の解決がなされれば、現在、安全保障理事会常任理事国及びドイツを中心に協議中の更なる安保理制裁決議の議論に大きな影響を及ぼすことは間違いない。ただ、イランが、IAEAが満足する情報を提供しない可能性も否定できない。また、本合意では、個々の項目の解決が相互に関連づけられていることにより、包括的な解決が長引き、その間、更なる安保理制裁決議の採択が先延ばしになる可能性が懸念され、イランの狙いもこの点にあるのではないかと見ることもできる。
本件は、6月22日のエルバラダイIAEA事務局長とラリジャニ・イラン最高安全保障委員会事務局長による、イランの原子力計画における「未解決な問題」を扱うための行動計画案策定の合意(核不拡散ニュースNo.0058参照)に基づき、数次にわたる実務レベルの会合の結果、個々の「未解決な問題」解決の手順、期限に合意したものである。
今回、解決に向けての手順、期限が合意された未解決の事項には、現在の活動に係る問題として、濃縮計画やアラクにある重水炉等、また、過去の活動に係る問題として、プルトニウム実験やP1.P2遠心分離機の問題等が含まれている。
本合意で特徴的なことは、(1)ここで取り上げられている項目が未解決な問題の全てであることをIAEAが確認することにより、将来、IAEAが他の問題を取り上げる可能性を排除していること、(2)IAEAの質問に対して、イランは必要な情報等を提供することが規定されているのみで、イランが提供する情報をIAEAが検証する手段については何も規定されていないことなどであり、欧米の国際安全保障に関係するシンクタンク等では欠陥の多い合意であるなどとして問題視している。
仮に、合意に沿った形で、「未解決な問題」の解決がなされれば、現在、安全保障理事会常任理事国及びドイツを中心に協議中の更なる安保理制裁決議の議論に大きな影響を及ぼすことは間違いない。ただ、イランが、IAEAが満足する情報を提供しない可能性も否定できない。また、本合意では、個々の項目の解決が相互に関連づけられていることにより、包括的な解決が長引き、その間、更なる安保理制裁決議の採択が先延ばしになる可能性が懸念され、イランの狙いもこの点にあるのではないかと見ることもできる。
【解説:政策調査室 山村】