第1条
この議定書は、協定中の一部の規定を敷衍し、特に、協定に規定する保障措置の適用に当たつての協力が国内制度に基づく活動との不必要な重複を避けるような方法で実施されるための条件及び方法を規定する。
第2条
機関は、協定の実施に当たり、国内制度の機能的独立及び技術的実効性の程度が他の国又は一群の国におけるものと同等の程度に達し、かつ、その程度が維持されることを条件として、保障措置に関し、機関がこのような国又は一群の国に与える待遇よりも不利でない待遇を日本国政府に与える。
第3条
日本国政府は、補助取極に付される合意された具体的な質問表を基礎として、協定に基づき機関に提供される施設に関する情報及び施設外にある核物質に関する情報を収集する。
第4条
日本国政府及び機関は、協定第46条(a)から(f)までに規定する設計情報の検討を共同して行う。協定第48条に規定する設計情報の検認は、機関が、日本国政府と協力して行う。
第5条
日本国政府は、第3条に規定する情報を機関に提供する際に、日本国政府が用いることを計画している査察方法についての情報並びに施設及び施設外の物質収支区域に関する補助取極の附属書を作成するための十分な提案(通常査察活動に係る査察業務量の推定値を含む。)を伝達する。
第6条
補助取極の附属書の作成は、日本国政府及び機関が共同して行う。
第7条
日本国政府は、使用者から報告を徴収し、この報告に基づいて集中的に記帳を行い、並びに受領した情報の技術的及び計量的な管理及び分析を行う。日本国政府は、1箇月単位で、協定第63条に規定する期限までに在庫変動報告を機関に提出する。日本国政府は、同条に規定する期限までに、かつ、補助取極に規定する実在庫の確認の頻度に従い、物質収支報告及び実在庫の明細表を機関に送付する。
第8条
報告の様式は、日本国政府及び機関が合意するところに従い補助取極に規定する。
第9条
日本国政府及び機関の通常査察活動(協定第84条に規定する査察の場合を含む。)は、協定の適用上、次条から第16条までの規定及び補助取極に従つて調整する。
第10条
協定第79条及び第80条の規定に従うことを条件として、個々の施設に対する機関の査察の実際の回数、程度、期間、時期及び態様を決定するに当たつては、この議定書に従い日本国政府により実施される査察活動を考慮する。
第11条
個々の施設についての協定に基づく査察業務量は、協定第81条の基準を用いて決定する。この基準は、補助取極に規定する推定査察業務量の計算の原則及び方法を使用することにより用いる。この原則及び方法は、協定第7条の規定に従い、保障措置の分野における新たな技術的発展及び得られた経験を考慮に入れるため、随時検討される。
第12条
前条の査察業務量は、適用されるべき実際の査察業務量の合意された推定値の形で表し、日本国政府及び機関が行う検認の方法及び査察の範囲とともに補助取極に規定する。当該施設の通常の使用条件及び次に定める条件の下では、この査察業務量を当該施設についての協定に基づく実際の最大査察業務量とする。
- (a)
- 協定第32条に規定する国内制度に関する情報が、補助取極に規定するところに従つて引き続き有効なこと。
- (b)
- 第3条の規定に従つて機関に提供される情報が、引き続き有効なこと。
- (c)
- 協定第60条、第61条、第63条から第65条まで及び第67条から第69条までの規定に従つて行われる報告が、日本国政府により、補助取極に規定するところに従つて引き続き提出されること。
- (d)
- 第9条から第16条までの規定に従つて行われる査察についての調整措置が、補助取極に規定するところに従つて引き続き適用されること。
- (e)
- 日本国政府が、この条の規定及び補助取極に規定するところに従い、当該施設に対しその査察業務を行い、かつ、その技術上の目的を達成すること。
第13条
- (a)
- 査察活動は、前条の条件に従うことを条件として、かつ、協定第89条の規定に従い、機関の査察と国内制度に基づく査察とが同時に行われるように調整する。
- (b)
- (a)の規定に従うことを条件として、機関の査察員は、機関が協定に規定する通常査察の目的を達成することができるときはいつでも、日本国の査察員が行う査察活動を観察することにより協定第74条及び第75条の規定を実施する。ただし、次のことを条件とする。
- (i)
- 日本国の査察員が行う査察活動の観察以外の方法により機関の査察員が行う査察活動であつて、予見することができるものについて補助取極に規定が置かれること及びそのような活動の例示が補助取極に含められること。
- (ii)
- 機関の査察員が、査察中に、不可欠かつ緊急であると認めるに至つた場合には、日本国の査察員が行う査察活動の観察以外の方法による査察活動を行うことができること。ただし、他の方法によつては機関が通常査察の目的を達成することができず、かつ、このような事態を予見することができなかつたことを条件とする。
第14条
協定に従つて日本国政府が行う査察の全体的な日程及び計画は、日本国政府が機関と協力して作成する。
第15条
日本国政府は、機関が日本国政府の行う査察の一部に立ち会うことに関して統計的サンプリングの要件に基づいて決定を行うことを可能にするため、日本国政府が入手し得る情報に従い、査察の対象となる物件の数、型式及び内容を機関に事前に通報する。
第16条
日本国政府は、機関の査察員が立ち会つた査察についての作業書類及び協定に従つて行われた日本国のその他のすべての査察活動についての査察報告を機関に送付する。
第17条
機関は、日本国の査察活動を観察することにより協定に規定する特定査察の目的を達成することができるときはいつでも、日本国の査察活動を観察することにより特定査察を行う。
第18条
- (a)
- 協定及びこの議定書の適用について検討し及びその適用を容易にすること並びに保障措置の分野における新たな技術的発展及び得られた経験を活用することを目的として、日本国政府及び機関の代表者から成る合同委員会を設ける。
- (b)
- 合同委員会は、次の目的のため、定期に会合する。
- (i)
- 協定及びこの議定書の実施から生ずる問題の検討(査察業務量の合意された推定値の検討を含む。)
- (ii)
- 保障措置の方法及び技術の発展の検討
- (c)
- 合同委員会は、また、保障措置の分野における研究及び開発の成果の活用に関する日本国政府と機関との間の協力を検討し、及び促進するものとし、並びに研究及び開発の成果を補助取極に反映させることに関して勧告を行うものとする。