核物質及び原子力施設の物理的防護に係る地域トレーニングコース
- タイトル
- 核物質及び原子力施設の物理的防護に係る地域トレーニングコース
- 開催期間
- 2014年10月20日〜10月31日
- 開催場所
- 核不拡散・核セキュリティ総合支援センター(ISCN) (東海村)
- 参加者数
- 27名
概要
2014 年10 月20 日-31 日に、核物質及び原子力施設の物理的防護に係るトレーニングコースを開催した。本コースは、核物質及び原子力施設の物理的防護に係る知識を習得する事を目的とした国際コースである。主としてアジア各国において原子力規制業務に係る政府機関、原子力事業者、及びその他政府関係機関を対象としており、米エネルギー省・サンディア国立研究所 (SNL)の協力を受けて2011 年より毎年開催している。第4 回目となる今回は、12 カ国から27 名が参加した。
本コースは、①原子力施設の物理的防護システム設計の条件となる様々な要件の定義、②システムの設計、及び ③設計したシステムの評価のプロセスを体系的に学ぶものである。クラス全体の講義 (座学)と6 名程度の少人数に分かれてのグループ演習によって構成されており、各講義の後にそれに対応した演習を行い、理解を深められるように設計しており、コース終了後に参加者各自がそれぞれのサイトの立地環境を考慮した上で物理的防護システムを設計・評価できるようになる事を目標としている。
本コースでは、ISCN が持つトレーニングツールを効果的に活用し、よりわかりやすい講義・演習を提供しており、具体的には、仮想の原子力施設を3D で3 面のスクリーンに表現することができるバーチャルリアリティ・システム (VR)を使用している。VR は、施設の特性評価、脅威の定義を学ぶ際に有益なだけでなく、実際の原子力施設を訪れた事が無い参加者には原子力施設のイメージを把握することができる。近年、原子力関連施設のセキュリティが強化されている事から、実施設を用いての学習はできないため、VR は核セキュリティを教える上で非常に有効なツールとなっている。また物理的防護システムの設計においては、システムを構成するセキュリティ機器 (センサーやフェンス、カメラ、警報評価システム等) の機能・特性に関する基本的な知識が不可欠であるが、実際の原子力施設で広く使われているセキュリティ機器の実機を多数備えている核物質防護実習フィールドを使った実習を取り入れている。またコース期間中に、核不拡散・核セキュリティの重要性を認識し原子力の平和利用を深く学んで欲しいとの思いから、被爆地の訪問を取り入れている。本年度は長崎を訪れ、被爆者から体験を伺うとともに、原爆資料館や国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館にて原爆による被害や復興について学び、原爆落下中心碑での献花も行った。その他にも、長崎・ヒバクシャ医療国際協力会 (NASHIM)による被ばく医療・復興に関する講義を受けた。
本コースの最後には、参加者たちは2 週間のトレーニングを通じて学んだ内容・得た知識を用いて仮想施設の物理的防護を与えられた性能要件を満たすように設計・評価する最終演習を行い、グループ毎に発表を行った。コースの参加者から「施設のPPS を改善するための評価が出来るようになった。」「施設に戻った際は、得た知識を共有したいと思う。」と高い評価を得る事が出来た。