ISCN-WINSワークショップ「核セキュリティと原子力安全のインターフェース」
- タイトル
- ISCN-WINSワークショップ「核セキュリティと原子力安全のインターフェース」
- 開催期間
- 2014年10月14日〜10月15日
- 開催場所
- 東京都台東区浅草橋 ヒューリックホール
- 参加者数
- 43名
概要
演劇の様子
ファシリテータによる進行
核不拡散・核セキュリティ総合支援センター (ISCN)は、世界核セキュリティ協会 (WINS) との共催により、ワークショップ「核セキュリティと原子力安全のインターフェース」 を開催した。本ワークショップでは、国内の原子力事業者を中心に、規制当局等政府機関などから43 名が参加し、核セキュリティと原子力安全における関係者間の連携・協力の重要性に焦点を当てて、2 日間に渡り議論を行った。
ISCN-WINS 共催ワークショップは、2010 年の核セキュリティ・サミットでのコミットメントに基づき、国内外の核セキュリティ対策強化に関する活動の一つとして、開催されている。2012 年3 月にISCNが主体となってWINS との共催による第1 回目のワークショップを東京で開催しており、今回はその第4 回目である。本ワークショップでは、「演劇型セッション」と呼ばれるWINS 独自のディスカッション・セッションを採用している。「演劇型セッション」とは、役者がワークショップのテーマに応じた様々な課題を包含した特定のシーン (特定の国・施設ではなく、架空の空間を設定) を芝居の形で演じ、それをもとに課題を抽出し、参加者が議論を行うものであり、WINS に特有のセッションである。
ワークショップの冒頭では、原子力規制委員会の山口寛峰室長より、原子力規制庁の役割や核セキュリティへの取り組み、事業者に求められること、国際核物質防護諮問サービス (IPPAS) 等の様々な課題について講演があった。続けて、二つ目の基調講演では、東京工業大学の尾本彰特任教授から、福島第一原子力発電所の事故に見る深層防御概念の適用における脆弱性、安全とセキュリティに求められる協力について講演があった。
今回のワークショップは核セキュリティと原子力安全のインターフェースをテーマとしており、定期点検のため停止中の原子力発電所で火災が発生し、セキュリティと安全の連携、施設と外部機関(消防等)の連携の課題が次々に露呈するシナリオを用いて議論を行った。例えば、安全側の担当者は、原子力発電所で火災が起きた場合、従業員の命を優先し、直ちに避難させようとする。他方、セキュリティ側の担当者は核物質等の持ち出しを防ぐための退域業務を通常通り行おうとするため、避難が思うように進まない。以上のような事例を複数、シナリオの中に組み込んでいる。各10分程度の演劇を観た後、参加者は、ファシリテーターのリードによってグループ・ディスカッションを行い、演劇の中に含まれていた課題や改善点につき、自分の組織では起こりうる事か、どうすれば防げたのか、自分たちの役割は何か等について議論を行った。1つのテーマについて、事業者や警備当局、規制当局が一緒に議論する機会は非常に少ないため、参加者からは貴重な情報共有の場として評価されている。今回のテーマは、日本が長い間培ってきた安全文化と同様に、核セキュリティ文化の向上が急務とされている現在に非常に適した選定であったと考えている。参加者からは、一般的な講演やプレゼンテーションと違い、より現実的な内容で危機感を覚えた、臨場感があり非常に良かった、この分野でこれほど分かり易いワークショップはない等のコメントが寄せられ、高い評価を得る事が出来た。