テーマ
- 「原子力平和利用と核不拡散・核セキュリティの両立と、原子力新興国への国際協力のあり方」
2010年4月に米国ワシントンにおいて核セキュリティ・サミットが開催、5月にはニューヨークにおいて2010年核兵器不拡散条約(NPT)運用検討会議が開催され、原子力平和利用を進める上で、核軍縮、核不拡散に加えて、核セキュリティの重要性について認識が高まっているところである。
特に核セキュリティ・サミットでは、我が国のナショナルステートメントとして、「核不拡散・核セキュリティ総合支援センター」(以下、総合支援センター)を原子力機構に設置すること、今後、3年後を目途により正確で厳格な核物質の検知・鑑識技術を確立すること等の声明がなされ、総合支援センターは昨年末に設置されるなど、日本の貢献が期待されている。
一方、原子力発電を導入する国に対し、日本も官民一体となり原子炉の輸出及び関連する技術支援に本腰を入れて取り組んでいる状況の中、ベトナムとの政府・研究開発機関間協力が実施されるなど、新たな原子力協力の動きが見られる。またインドとの間では、原子力協定の締結に向けた交渉が進められているが、インドはNPT枠組みの外にいることから、同国との協力については、様々な議論が重ねられている。資機材の輸出等の原子力協力に当たっては、輸出国及び受領国双方による原子力平和利用と核不拡散、核セキュリティ確保の重要性理解とこれらの措置の担保が必要である。
今回のフォーラムでは、上記の観点から原子力の平和利用と核不拡散、核セキュリティの両立に向けた取組方策と、原子力新興国への原子力協力・輸出のあり方等について議論を行い、今後の方向性を見出すこととしたい。
実施概要
- 開催日時:
- 平成23年2月2日(水) 10:00〜17:30、2月3日(木) 9:30〜18:00
- 開催場所:
- 学士会館 210号室(東京都千代田区神田錦町)
- 主催:
- (独)日本原子力研究開発機構
- (財)日本国際問題研究所
- 東京大学グローバルCOE
- 入場料:
- 無料(事前申込制)
- 言語:
- 日本語・英語(日英同時通訳有り)
レセプション
フォーラム初日終了後に、講演者及びパネリスト等をお迎えして、会費制のレセプション(立食)を開催致します。
- 会場
- 学士会館 202号室
- 会費
- 5,000円
プログラム
※パネル討論参加メンバーや基調講演者については、変更となる可能性があります事、ご了承願います。
平成23年2月2日(水) 10:00〜17:30
冒頭挨拶 10:00〜10:10
- 鈴木 篤之 日本原子力研究開発機構理事長
基調講演 10:10〜11:45、13:00〜13:30
- 巡り変わる核の風景:今後の検証課題に備えて
- ハーマン ナカーツ 国際原子力機関(IAEA) 保障措置局担当事務次長
- 核セキュリティと原子力平和利用
- ローラ ホルゲイト 米国国家安全保障会議 WMDテロ・脅威削減担当上級部長
- ワークショップ「持続可能な未来のための原子力」に関する報告
- 遠藤 哲也 日本国際問題研究所「新しい核の秩序構想タスクフォース」座長
- 原子力平和利用と核不拡散
- 高須 幸雄 人間の安全保障に関する国連事務総長特別顧問 / 前国連大使
パネル討論1 13:30〜17:30
「NPT運用検討会議のフォロー:平和利用と核不拡散・核軍縮」
(パネル1-1)保障措置の強化・効率化 13:30〜15:30
原子力平和利用のための保障措置の強化・効率化について、追加議定書及び統合保障措置の普遍化をいかにして達成するか。また、保障措置技術開発は、技術の信頼性向上、保障措置活動に伴う査察資源の合理化・効率化及びそれに伴う受領国側の負担軽減のメリットを生み、それらに貢献することはできるのではないか。
- 座長
-
- 内藤 香 財団法人核物質管理センター専務理事
- パネリスト
-
- ジョージ アンゼロン 米国 ローレンスリバモア国立研究所 地球規模安全保障局、核不拡散・国際安全保障・保障措置部長代行
- ジル クーリー IAEA 保障措置局 概念計画部長
- 久野 祐輔 日本原子力研究開発機構 核不拡散科学技術センター次長 / 東京大学大学院工学系研究科 教授(委嘱)
- ナーヤン リー 韓国 核不拡散核物質管理院 保障措置部チームマネージャー
- クラウス メイヤー 欧州委員会共同研究センター 超ウラン元素研究所
- 村上 憲治 日本原子力研究開発機構 核不拡散科学技術センター客員研究員(前 IAEA保障措置局実施C部長) / 東京都市大学大学院客員教授
(パネル1-2)保障措置技術の核軍縮への応用 16:00〜17:30
保障措置技術の核軍縮への応用、核兵器解体核Pu処分及び兵器用核分裂性物質生産禁止条約(FMCT)に関する核物質の検証に対し、IAEA及び主要国(我が国含む)がどのような役割・貢献をなすべきか。
- 座長
-
- 阿部 信泰 日本国際問題研究所 軍縮・不拡散促進センター所長
- パネリスト
-
- ジル クーリー IAEA保障措置局 概念計画部長
- ショアリー ジョンソン 元IAEA保障措置局実施A部課長 / コンサルタント
- 菊地 昌廣 核物質管理センター 理事
- ゲナディ パシャーキン ロシア 物理エネルギー研究所不拡散課長
- 鈴木 美寿 日本原子力研究開発機構 核不拡散科学技術センター研究主席
- 鈴木 達治郎 原子力委員会委員長代理
レセプション 17:45〜19:00
- 於:学士会館 202号室
平成23年2月3日(木) 9:30〜18:00
パネル討論2 9:30〜13:00
「核セキュリティ強化に向けて」
(パネル2-1)核セキュリティ 9:30〜11:15
核セキュリティ・サミット、WINS等の民間活動の活発化、IAEAによる核セキュリティ強化に伴う文書の作成、将来の施設へのセキュリティ設計、日本政府のイニシアティブにより原子力機構に設置する核不拡散・核セキュリティ総合支援センターの取組、各国が取り組むべき課題や国際協力の方向性などについて議論を行う。
- 座長
-
- ロジャー ホズレー 世界核セキュリティ協会(WINS)事務局長
- パネリスト
-
- テリュ ダイルベコフ カザフスタン原子力委員会 核物質管理・核セキュリティ部長
- ミロスラフ グレゴリッチ IAEA原子力安全・核セキュリティ局 課長
- ローラ ホルゲイト 米国国家安全保障会議 WMDテロ・脅威削減担当上級部長
- 木村 直人 文部科学省 研究開発局 開発企画課 核不拡散・保障措置室長
- 中込 良廣 原子力安全基盤機構 理事長代理
- 千崎 雅生 日本原子力研究開発機構 核不拡散・核セキュリティ総合支援センター長
- 上坂 充 東京大学工学系研究科原子力国際専攻 教授
- ホーシク ユー 韓国 核不拡散核物質管理院 核物質防護部 マネージャー
(パネル2-2)核鑑識 11:30〜13:00
核の不正取引や核テロを抑止する上で極めて重要な手段である核鑑識について、その技術の確立に向け、我が国が取り組むべき課題や関係各国との協力体制確立の方向性などについて議論を行い、日本及び関係各国がどのような貢献をなすべきかを明らかにする。
- 座長
-
- クラウス メイヤー 欧州委員会共同研究センター 超ウラン元素研究所
- パネリスト
-
- 古川 勝久 科学技術振興機構 社会技術研究開発センターフェロー
- 黒木 健郎 科学警察研究所 法科学第二部物理研究室長
- 太田 昌克 共同通信社編集委員(論説委員兼務)
- 桜井 聡 日本原子力研究開発機構 核不拡散科学技術センター研究主席
- ルネ ソンダーマン 米国国務省 対核テログローバルイニシアティブコーディネーター
パネル討論3 14:00〜17:50
「原子力平和利用協力における核不拡散確保の重要性」
(パネル3-1)原子力新興国に対して原子力協力を行う上での核不拡散の重要性 14:00〜16:00
原子力新興国に対して原子力協力を行う際、各国の原子力企業による公平な競争の場(Level playing field)をいかに確保するか(原子力協力の要件の共通化)、燃料供給保証構想の核不拡散上の意義、将来的に想定される使用済燃料の蓄積問題への対応等について議論を行う。新興国側の視点も取り入れる。
- 座長
-
- 浅田 正彦 京都大学大学院法学研究科 教授
- パネリスト
-
- 新井 勉 外務省 国際原子力協力室長
- ジョー シャン チョイ 東京大学GCOEプロジェクト特任教授
- テリュ ダイルベコフ カザフスタン原子力委員会 核物質管理・核セキュリティ部長
- プリチャー カラシュディ タイエネルギー省顧問
- ポール カー 米国議会図書館調査局 外交・防衛・貿易部門 大量破壊兵器・不拡散担当分析官
- フレデリック モンドロニ 仏国原子力・代替エネルギー庁 国際局長
- 佐野 多紀子 経済産業省資源エネルギー庁原子力政策課 企画官(国際原子力担当)
- 武黒 一郎 国際原子力開発株式会社 代表取締役社長
- ジャロット ウィスヌブロット インドネシア原子力庁副長官
(パネル3-2)非NPT国との原子力協力 16:30〜17:50
非NPT国との原子力協力を核不拡散の観点からどう捉えるか、公平な競争の場をいかに確保するか等について議論を行う。
- 座長
-
- 田中 知 東京大学大学院工学系研究科原子力国際専攻教授
- パネリスト
-
- 浅田 正彦 京都大学大学院法学研究科 教授
- 遠藤 哲也 元原子力委員会委員長代理 / 日本国際問題研究所客員研究員
- 広瀬 崇子 前原子力委員会委員 / 専修大学法学部教授
- ポール カー 米国議会図書館調査局 外交・防衛・貿易部門 大量破壊兵器・不拡散担当分析官
- フレデリック モンドロニ 仏国原子力・代替エネルギー庁 国際局長
- 尾本 彰 原子力委員会委員
閉会挨拶 17:50〜18:00
- 遠藤 哲也 日本国際問題研究所「新しい核の秩序構想タスクフォース」座長
- 田中 知 東京大学大学院工学系研究科原子力国際専攻教授