原子炉本体解体技術

ふげん原子炉の特徴について

「ふげん」の原子炉本体は、224本の圧力管(Zr-2.5%Nb)とカランドリア管(Zry-2)がそれぞれ同心円上に配置された2重管構造となっており内部が狭く構造が複雑です。また、炉心は様々な材料で構成され、それら構造材は約25年間の運転を経て中性子により放射化されています。

ふげん原子炉の特徴について

原子炉本体解体方法の選定について

炉心部は放射線量が高く人が近づける環境ではないため、遠隔による解体作業が必要となります。このため、被ばく低減や汚染拡大防止の観点から原子炉上部に解体用プールを設置し、水中で遠隔解体装置を用いて解体する計画としています。切断工法はコストに大きく影響を与える解体工期の短縮及び二次廃棄物発生量の低減、水中での適用性に加え「ふげん」の炉心領域に特徴的な狭隘部にも適用可能なものを選定しました。
工法の選定にあたっては、動力試験炉(JPDR)や海外での原子炉遠隔解体で実績があるプラズマアーク、アブレイシブウォータージェット、ダイヤモンドワイヤーソーに加え近年技術革新が著しいレーザについて、切断速度、二次廃棄物発生量、コストについて比較評価を行いました。
その結果、「ふげん」原子炉解体切断工法として炉心領域と遮へい領域についてはレーザ切断工法、更に遮へい領域の金属ライナー付きのコンクリートはダイヤモンドワイヤーソー切断工法を選定しました。

原子炉本体解体方法の選定について

原子炉水中解体モックアップ試験について

原子炉本体の解体に向け、敦賀市内に設置された「スマートデコミッショニング実証拠点」において水中レーザ切断ヘッドを用いた原子炉水中解体モックアップ試験を実施しています。
これらの試験成果を反映し、遠解体装置の設計や解体手順の検討を進めています。

原子炉水中解体モックアップ試験について

原子炉構造材からの試料採取について

原子炉構造材の放射能濃度評価をより高い精度で実施することを目的として開発した試料採取装置を用いて、ふげんの特徴である複雑かつ狭隘な構造の原子炉内部にアクセスし、任意の箇所から試料採取することに成功しました。
採取した試料から得られる高精度の放射能濃度評価結果は、これから設置する解体プール・遠隔解体装置の設計や原子炉解体手順に反映するとともに、発生する解体物の廃棄体化手順(中深度処分を想定)の策定に反映します。

原子炉構造材からの試料採取について