給水制御系のファジィの制御
開発内容
昭和61年度から開発してきたファジィ制御システムを平成4年度に給水制御系に適用した。

ファジィ(Fuzzy:あいまい)理論は、従来の制御系における明確な論理体系の限界を認識して発案された理論であり、これを応用した制御システムは、従来のPID(比例・積分・微分動作)制御に比較して、よりよい制御特性を発揮できる可能性を持っています。
「ふげん」では、低出力における原子炉給水制御が熟練運転員の知識や経験によってなされ、非常に微妙な運転操作を要していたことから、ファジィ制御の適用が有効と判断し、パイロットシステムでの開発を経て、平成4年に実機への適用を行いました。
原子炉給水制御系は、蒸気ドラム水位を設定レベルに保つように蒸気ドラムへの給水量を制御する系統です。
ファジィ制御では、運転員が手動制御する場合と同様に、蒸気ドラム水位の他に原子炉出力、給水流量等のプロセスデータを基に制御量を推論することにより制御を行うため、熟練運転員に近い良好な制御特性が実現できます。

給水制御システムの概念
ファジィ制御について・・・
ファジィ制御は、1965年米国カリフォルニア大学の Zadeh教授が提案したファジィ集合論を基にした制御方式です。
これは、熟練者や専門家が持っている知識や経験による定性的な判断方法(もう少し、だいぶ、~ならば、~くらい)をファジィ集合論を用いて制御規則化し、それらの規則に基づいて制御量を推論することにより制御を行うものです。
このためファジィ制御は、非線形性が強く特性が複雑で、制御対象のモデルが数式で表現することが困難な系統の制御にも容易に通用が可能であると言われており、各種の工業分野においても実用化が進められています。